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Ecological function of the brown lemur (<i>Eulemur fulvus fulvus</i>) on the dry forest ecosystem in north-western Madagascar
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- SATO Hiroki
- 京都大・アジア・アフリカ地域研究
Bibliographic Information
- Other Title
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- マダガスカル北西部乾燥林生態系におけるチャイロキツネザル(<i>Eulemur fulvus fulvus</i>)の生態的機能
Description
(目的) マダガスカルでは、鳥類・哺乳類相の種数が相対的に少ないにも関わらず、キツネザルの種数は多い。このことから、さまざまな生態的地位を満たすキツネザルがマダガスカルの生態系で果たす生態的機能は大きいと予想される。本発表ではマダガスカル北西部アンカラファンツィカ国立公園(落葉性乾燥林)におけるチャイロキツネザルの生態的機能を明らかにするために行った予備調査の結果を報告する。<br>(方法) 国立公園内の調査区林において、1つの群を追跡観察し、移動ルート、採食品目、各行動とその時間などを記録した。直接観察中に排泄された糞を可能な限り回収し、内容物を分析した。また、チンバザザ動植物園で本種と、同所的に分布するマングースキツネザルの飼育個体を用い、採食行動の観察、消化時間の測定を行った。<br>(結果と考察) 群の構成はオトナ5個体、アカンボウ1個体であった。合計観察時間37時間33分間で果実、葉、花、虫類、砂が採食された。また、小型鳥類の巣をあさっているのを観察した。本種は雑食性の強い果実食者であり、大型肉食哺乳類の少ないこの地域では重要な捕食者である。糞中には、多くの種子と果皮、イモムシの皮、砂が含まれていた。種子の多くは発芽能力があった(種子散布者)。種子の最大サイズは長さ28mm直径18mmで、それ近いサイズの種子を飼育下のマングースキツネザルは物理的に飲み込むことができなかった。シファカの糞は小さく何も含まれていなかった。つまり、種子の大きい植物種にとって本種が唯一の種子散布者となる。本種の最短消化時間(餌を飲み込んでから糞として排泄され始める時間)は平均120.4分で、種子散布者として体内に種子を貯めて運ぶ時間は長くないが、この地域では本種が最も大きな遊動域を持ち、個体数の多いキツネザルであるため、最重要種子散布者といえる。マダガスカル北西部乾燥林生態系で本種の果たす生態的機能は大きい。
Journal
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- Primate Research Supplement
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Primate Research Supplement 22 (0), 52-52, 2006
Primate Society of Japan
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680611145728
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- NII Article ID
- 130006996759
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed