老齢アフリカミドリザルに認められた3種の異なったアミロイド症

書誌事項

タイトル別名
  • Three different amyloidoses found in an aged Vervet monkey

説明

目的; サル類の加齢性アミロイド症の発生様式はヒトと類似し、その全容を知ることは比較医学的に重要であり、本研究ではその一端を明らかにすることを目的とした。<br>方法; 3年以上の長期にわたる不整脈と衰弱で予後不良と判断された、推定29歳・オス・アフリカミドリザル(Cercopithecus aethiops)の全身臓器を組織学的(HEおよびDFSアミロイド染色)、免疫組織化学的(抗amylin、amyloid A (AA)、amyloid β (Aβ)、apolipoprotein E (apoE)、calcitoninおよびtransthyretin (TTR)抗体)に検索した。<br>結果; 心筋壁全体にDFS陽性の巣状のアミロイド沈着が見られ、免疫組織化学的にはTTRとapoEから構成されていた。同じ構成成分のアミロイド沈着は、甲状腺をはじめとする諸臓器の間質、脂肪組織にも認められた。脳ではDFS陽性の老人斑(SP)および脳血管アミロイド症(CAA)が観察され、免疫組織化学的にはAβならびにapoEから成るさらに多数のSPとCAAが検出された。膵臓では約半数の膵島にDFS陽性のアミロイドが沈着しており、免疫組織化学的にはamylinおよびapoEから構成されていた。いずれのアミロイド成分においてもAAとcalcitoninは検出されなかった。<br>考察; 心臓をはじめとする諸臓器のアミロイド沈着は、TTRを主構成成分とし、臨床症状で不整脈(もしくは期外収縮)を呈していたことから、これまで動物では報告のない、ヒトのsenile systemic amyloidosisに一致する病態であることが明らかとなった。脳や膵臓のアミロイド沈着はヒトおよびマカカ属の報告と一致するアミロイド症であった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680611259392
  • NII論文ID
    130006996937
  • DOI
    10.14907/primate.22.0.99.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ