ニホンザル頚部背側および外側筋群および舌骨下筋群の筋線維タイプ構成

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タイトル別名
  • Muscle fiber type distribution in back and lateral neck muscles and infrahyoid muscles of Japanese macaque

抄録

 ニホンザルの背側および外側頚部筋群および舌骨下筋群の筋線維タイプ構成を検索し機能形態学的に解析した。10%ホルマリンにより注入固定され同液中に約13年間保存された標本より試料を採取した。筋は付着部で切離して採取し、筋腹の全横断面を保存するように切り出し、ドライアイス・アセトンで凍結し、クリオスタットで連続切片を薄切した。間接蛍光抗体法を用いて免疫組織化学染色を施し、筋線維タイプを区別した。一次抗体として抗速筋型ミオシン重鎖(MHC)抗体および抗遅筋型MHC抗体を用いた。染色された連続切片を観察すると、抗速筋型MHC抗体染色で陽性反応を示した筋線維は、抗遅筋型MHC抗体染色では陰性反応を示した。また、これとは逆に、抗遅筋型MHC抗体染色で陽性反応を示した筋線維は抗速筋型MHC抗体染色では陰性反応を示した。また、一次抗体を用いず染色操作を行った対照切片では陽性反応を示す筋線維は認められなかった。同時に採取し染色した同一個体のヒラメ筋および腓腹筋外側頭について観察すると、ヒラメ筋では抗遅筋型MHC抗体染色陽性線維が多数を占め(96%)、腓腹筋では少なかった(21%)。これは、すでに多数報告されている同筋の筋線維タイプ構成の傾向と一致した。以上の結果は、今回の染色において筋線維タイプが区別されていること示唆する。僧帽筋では、胸椎から起始する尾側半の筋束では抗遅筋型MHC抗体染色で陽性反応を示す筋線維の数比(%ST)は平均して56%であったのに対し、頚椎および頭蓋から起こる頭側半の筋束では%STは34%であった。板状筋では、上部胸椎と頚椎とを連結する外側部の筋束から頚椎と頭蓋とを連結する内側部の筋束に向かって%STの値は増大する傾向を示した。胸鎖乳突筋では、胸骨頭においても鎖骨頭においても、筋中心部に位置する筋束は周縁部の筋束に比べ%STは大きな値を示した。胸骨甲状筋(%STは平均して45%)は胸骨舌骨筋(31%)および肩甲舌骨筋(35%)に比べ%STは大きな値を示した。これらの結果は、筋間および筋内部位間に機能的分化が存在することを示唆する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680611449856
  • NII論文ID
    130006997156
  • DOI
    10.14907/primate.27.0.59.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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