分子内アルキル化における不斉の保持
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- 川端 猛夫
- 京大化研
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- 川上 晋平
- 京大化研
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- Swapan Majundar
- 京大化研
書誌事項
- タイトル別名
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- Asymmetric Cyclization <i>via</i> Preservation of Chirality
- A Concise Access to Chiral Nitrogen-Containing Heterocycles
- キラル含窒素複素環の簡便合成
抄録
我々はエノレートの動的不斉を利用するアミノ酸誘導体の不斉アルキル化を行なってきた。窒素をt-ブトキシカルボニル(Boc)基とメトキシメチル(MOM)基で保護したアミノ酸エステルを塩基KHMDSで処理してエノレートとした後、ヨウ化メチルと反応させると不斉メチル化が外部不斉源の非存在下に76∼93% ee で進行する。本反応は動的なC–N軸性不斉を持つキラルエノレート中間体Aを経て進行する。Aは−78度で22時間のラセミ化半減期(R=CH2Ph)を持つ。このように比較的長いラセミ化半減期を要することが本不斉誘導の適用範囲を狭めていた。今回、この不斉アルキル化を分子内反応に適用し、本不斉誘導の一般化を計り種々のキラル含窒素複素環の合成を行なった。α-アミノ酸から容易に得られる3をDMF中KHMDSで処理すると分子内アルキル化による環化が進行し、4が高エナンチオ選択的に得られた。本反応は4∼7員環合成に適用でき、以下に示すα-置換プロリンや種々の環状アミノ酸を高選択的に与える。エノレートの分子内共役付加も進行し、多置換含窒素複素環が得られる。5員環生成はシス体(2つのエステル部分がシス)が、一方、6員環生成はトランス体がそれぞれ高エナンチオ選択的に得られる。これらの反応では塩基処理により不斉中心が消失するにもかかわらず、キラリティーは環化過程を通して高度に保持される。不斉誘導の機構として動的な軸性不斉を持つエノレート中間体Bを経るものが考えられる。一方、協奏的なSE2機構も可能である。発表では本反応のscope and limitation及び不斉誘導の機構について述べたい。
収録刊行物
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- 反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
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反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要 29 (0), 208-209, 2003
日本薬学会化学系薬学部会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680611470848
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- NII論文ID
- 130006997192
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可