ニホンザルの化石
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- 高井 正成
- 京都大・霊長類研
Abstract
現在日本列島に生息しているヒト以外の霊長類は,マカク類のニホンザルMacaca fuscataのみである。しかし化石として知られている最も古い標本は,神奈川県の第四紀初頭(約250万年前)の地層から見つかっているコロブス類(Kanagawapithecus)の頭骨化石であり,予備的な解析結果から現生のアジア産コロブス類よりもアフリカ産のコロブス類に近いということになっている。また,二番目に古い霊長類化石は山口県美祢市の安藤採石場で発見された約50万年前のニホンザルとみられる遊離歯化石である。したがってこれまでに知られている化石記録によれば,日本列島に最初に侵入したのはマカク類ではなくコロブス類である。なぜ日本列島でコロブス類が絶滅し,マカクだけが生き残ったのかは未だに解明されていない。<br> 本自由集会では,日本列島および周辺各国からみつかっている鮮新世以降の霊長類化石を検討し,東アジアにおける旧世界ザル類の進化史について考察する。また最近日本各地の遺跡から見つかっているニホンザル化石とその産出状況を紹介し,日本列島におけるニホンザルの進化に関して情報交換を行う。
Journal
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- Primate Research Supplement
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Primate Research Supplement 27 (0), 1-1, 2011
Primate Society of Japan
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680611516160
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- NII Article ID
- 130006997267
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed