フイリマングース (Herpestes auropunctatus) 個体数抑制手法としての避妊ワクチン開発 (2)

DOI

抄録

 【はじめに】特定外来生物のマングースは,大規模な防除事業により沖縄島北部や奄美大島などでは低密度化を達成することに成功した.その結果,罠による捕獲効率が低下し,新たな個体数抑制手法の開発が求められている.われわれは,免疫学的に繁殖を抑制する避妊ワクチン開発のための研究を行ってきた.前大会では,抗原候補として着目している本種の卵透明帯蛋白(ZPC)の塩基配列を解読し,マウスとヒトのZP3,イヌ,オコジョおよびネコの ZPCの配列との相同性,加えて同配列中の精子卵結合部位のアミノ酸配列における相同性の比較結果を第一報として報告した.本大会では,精子卵結合部位のアミノ酸配列を元にして合成したタンパク質を用いてウサギへの免疫接種を行い,精製したポリクローナル抗体を ELISA法によって確認した結果などを報告する.<br>【方法】われわれの研究グループが明らかにしたマングース ZPC完全長配列(1,336bp)中の精子卵結合部位と考えられるアミノ酸配列 (23AA)とその直後のアミノ酸配列 (5AA)を元にして,それぞれ8AAの共通部分を持つ 2種類の合成タンパク質 A,B(共に 19AA)を作成した.これらをそれぞれウサギ 2羽に,開始日を 0日目とし,0,14,28,42日目に接種した.また,各接種前に採血して得られた血清を用い,合成タンパク質 A,Bに対する抗体を検出するために ELISA法を行った.<br>【結果・考察】合成タンパク質 Aを接種したウサギ 2羽,Bを接種したウサギ 1羽において有意な抗体価の上昇が認められた.よって,合成タンパク質 A,B共にエピトープ部位を含み,抗原候補として有用であるものと思われた.今後,最終の免疫接種を行って得られた血清を用いてマングースおよび他種の野生動物の卵透明体に対する免疫組織化学を実施し,合成タンパク質 A,Bのワクチンとしての有効性および種特異性を確認する予定である.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680611766784
  • NII論文ID
    130005471675
  • DOI
    10.14907/primate.29.0_237_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ