GPS首輪の行動センターのデータから見たニホンジカの行動パターン (丹沢地域事例)

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抄録

 私たちは 2008年から 2012年まで丹沢地域で GPS首輪を用いたニホンジカ(以下,シカ)の追跡調査を行ってきた.これまでに 14頭のシカに GPS首輪を装着し,内 12頭(成獣 ♂♂ 2頭,成獣 ♀♀ 8頭,0.5歳 ♀♀2頭)の GPS首輪は行動センサー付き Tellus T5H1D首輪(Followit, AB, Lindesberg, Sweden)である.行動センサーは,GPS首輪の測位間隔に合わせ,その位置情報を取得する間の頭部の動きを縦方向(体軸方向)と横方向(体軸に直交する方向)に分けて数え,GPS首輪に蓄積する.縦軸のデータはシカの採食などによる頭の上下運動,横軸のデータは水平方向の運動とし記録したものと考えられる.本研究の首輪の測位間隔の設定は1時間であり,行動センサーのデータも1時間ごとに記録された.行動センサーのデータは 1分間あたりの頻度に換算した.この値はその時間帯の採食と移動の活発性を反映すると考えられる.センサーデータの取得期間は 25日~ 365日までであり,12個体の平均は 207日であった.本研究では,この行動センサーデータを用いて,丹沢地域に生息するシカの行動と移動パターンなどの季節特性について検討した.<br> 全ての個体の採食と水平運動の値は正の相関を示した.これはシカが移動しながら採食する習性による結果だと考えられる.個体ごとのシカの行動は 2時間~ 6時間の間隔で繰り返し採食と休息することが示された.通年シカが活発的な行動時間帯は深夜の 22時~ 1時,日の出前後の 6時~ 10時,日没前後の 17時~ 20時の三つのピークを示した.冬季に行動のピークが明確になるのと対照的に,夏季のピークは滑らかになり,昼間の行動も頻繁であることが認められた.10月~ 11月の秋季には昼間の行動は夏よりさらに活発になることが示された.<br> 本発表では丹沢山と寄でのシカの行動パターンの性別差,地域差及び食物環境との関係も考察を行う.

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  • CRID
    1390282680611815168
  • NII論文ID
    130005471615
  • DOI
    10.14907/primate.29.0_213_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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