2D-nanoLC/LIT-TOFMSとInformation Based Acquisitionを組合わせた血清タンパク質中のバイオマーカー探索

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  • Biomarker Discovery in Serum Protein by Combining 2D-nanoLC/LIT-TOFMS and Information Based Acquisition

抄録

質量分析技術を用いたバイオマーカー探索法として、健常者と患者由来の試料に含まれているタンパク質をLC/MSで測定し、比較解析する方法が広まりつつある。しかしながら、生体試料中のタンパク質の存在比は範囲が広く、ヒト血清では、約2万種類のタンパク質の濃度範囲が10-12桁に及ぶと考えられている。そのため、バイオマーカー探索には高分離、高分解能、高感度な解析手法の開発が求められている。<BR> 我々は高分離可能なオンライン2D-nanoLC、分解能と感度の高いLIT-TOFMS、MS/MS測定済みイオンの重複測定回避により微量タンパク質の同定に効果的なIBA機能を組み合わせることで、バイオマーカー探索向けのプラットフォームを構築した。本報告では擬似患者試料として、市販ヒト血清に炎症性疾患等のマーカータンパク質として知られるC-reactive protein(CRP)および肝細胞癌等のマーカータンパク質であるα-fetoprotein(AFP)を、各々患者相当濃度を添加したものを調製し、本システムによる解析を行った。<BR> 擬似患者血清試料を1D-nanoLC/LIT-TOFMSを用いて解析した結果、169種類のタンパク質がヒットしたのに対して、2D-nanoLC/LIT-TOFMSで解析した場合は、672種類ヒットした。さらに、2D-nanoLC/LIT-TOFMSでIBAを用いて解析した結果、IBAを用いなかった場合の672種類に対して、1321種類のタンパク質がヒットした。同時に血清中の含有量が約30 ng/mLの微量成分であるthyroglobulinのヒットに至った。このことは、IBAによりヒット数が増加するとともに、より微量な成分の検出に効果的であることが認められた。また、添加したマーカータンパク質については、1D-nanoLC/LIT-TOFMSでは、CRP、AFPともに同タンパク質由来のペプチドの検出は認められなかったが、2D-nanoLC/LIT-TOFMSでIBAを用いて解析することによりCRP由来の6種類、AFP由来の3種類の各ペプチドが検出された。これらのことから、2D-nanoLC/LIT-TOFMSとIBA機能を組み合わせた本システムは、バイオマーカー探索に有効と考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680611843968
  • NII論文ID
    130006997585
  • DOI
    10.14889/jhupo.2007.0.91.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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