人工脂質リポソームを用いた血漿微量成分の濃縮とその標品を用いた認知症分子マーカー解析の試み

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of the plasma molecular marker for dementia using liposome as a biological probe

説明

血漿サンプルは採取の侵襲性が低く、疾患の動態、治療応答性、薬物効果など診断にきわめて重要な情報が得られることが期待されている。しかし、血漿中にはアルブミンやグロブリンなど豊富に存在する蛋白質が99%を占め、一方、疾患マーカーとなると思われる蛋白質は残りの1%に含まれる微量な蛋白質と報告されてきている。この微量成分の濃度は10-9~10-18M以下と低く、そのままでは検出することは困難であり選択的に濃縮する必要がある。アルブミンなどのプラズマ蛋白質を除く方法が広く用いられているが、微量成分はアルブミンなどのキャリア蛋白質と結合している可能性もあり検出を困難にしている。我々は、そのような微量成分を濃縮する方法として、人工脂質リポソームを血漿に添加し、Ca2+-依存的にリポソーム(PC:PS=9:1)に結合する分画(Liposome Binding Protein:LBP)を調製し検討したところ、微量成分の濃縮が行われることがわかった。この方法を利用して、認知症患者血漿9検体と高齢者健常者7検体の血漿それぞれをテストセットとして選び、LBPの二次元電気泳動のスポットパターンのProfileを作成し、認知症に特異的な候補となるスポットをCross Validationを選び出した(候補マーカー)。その中には、これまで我々が注目してきたアネキシンA5が含まれていた。このようにリポソーム法は、血漿マーカーの解析を行う上で有用なバイオプローブであり、質量分析を行う上でも比較的簡便かつハイスループットに対応できる可能性がある。また、リポソームの脂質組成を変える事により異なる成分を選択的に捕捉できる可能性があり、今後の検討課題である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680611877248
  • NII論文ID
    130006997626
  • DOI
    10.14889/jhupo.2007.0.72.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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