酸化ストレスマーカー(タンパク質酸化物)を検出するための機能性色素の開発
書誌事項
- タイトル別名
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- Development of Functional Dye for the Detection of Oxidative Stress Marker
説明
【はじめに】現在、癌や高血圧、動脈硬化、糖尿病など生活習慣病のほとんどが活性酸素や過酸化脂質などの酸化ストレスが大きな原因の一つとなっている。このため、疾患を予防するためには酸化ストレスを最小限に食い止めることが必要となっている。酸化ストレスの大きさを調べるマーカーとして、8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)やアクロレインなどがある。アクロレインは、石油、石炭などの燃焼による生成、油脂の加熱で生成するα,β-不飽和アルデヒドであり、細胞の毒性が強い物質である。最近では、脂質過酸化反応によって、アクロレインが生成することが明らかにされたため、生体に対するアクロレインの影響について注目を浴びている。このため、今後、その成果を医療や健康管理の現場で役立てるためには、アクロレインおよびそのタンパク質付加体を、簡便かつ迅速に分析する技術を確立しておくことが重要となってくる。 <BR> そこで本研究では、チアゾリノン基とヒドラゾン基を併せ持つ新規比色分析試薬を系統的に設計・合成し、アクロレインおよびそのアミノ酸、ペプチドおよびタンパク質付加体との相互作用について評価を行った。 <BR>【結果と考察】試薬単独の溶液は無色であるが、試薬とアクロレインを室温で混合すると、瞬時に濃緑色に変化した。これは、試薬とアクロレイン中のホルミル基が反応したことによって、共役系が伸長し、650nm近傍に新しい吸収帯が生じたためである。次に、アクロレインは通常、タンパク質あるいはペプチド中のリジン残基と反応した付加体の形で、体外に排泄されることが知られている。そこで、アクロレインとリジンの反応体であるホルミルデヒドロピペリジノ-リジン(FDP-Lys)、およびBSA中のリジン残基とアクロレインを反応させた付加体(BSA-アクロレイン付加体)について、これらの溶液に試薬を添加したところ、アクロレイン単独の時と同様の結果が得られた。また、検量線については、良好な直線関係が得られた(r2 > 0.998)。さらに、妨害物質(無機塩, 界面活性剤, キレート剤など) の影響について検討したところ、これらの物質が過剰量に存在していても、反応に影響を与えないことが分かった。 <BR> このような試薬を用いることにより、従来よりも手軽にかつ短時間で酸化ストレスマーカーの分析を行うことが出来ると考えられる。
収録刊行物
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- 日本プロテオーム学会大会要旨集
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日本プロテオーム学会大会要旨集 2007 (0), 62-62, 2007
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680611915008
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- NII論文ID
- 130006997681
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可