プロテオミクスを用いたRA滑膜における新規シトルリン化自己抗原の解析
書誌事項
- タイトル別名
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- Identification of novel citrullinated autoantigens of sinovium in rheumatoid arthritis
抄録
関節リウマチ(RA)の診断において、抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)の有用性が注目されている。さらに、アルギニンをシトルリン化する酵素であるpeptidyl arginine deiminase type IV (PADI4)遺伝子の変異が、RA発症と相関すると報告されている。しかしながら、RAにおけるシトルリン化自己抗原はFilaggrinなど少数のものが報告されているのみであり、その全容は明らかでない。そこで我々はRA滑膜組織におけるシトルリン化蛋白に注目し、プロテオミクスの手法を用いて検出同定した。<BR>具体的には、手術検体由来のRA及び変形性関節症(OA)滑膜組織より抽出した蛋白をPH4-7で2次元電気泳動法を用いて分離し、全蛋白を蛍光色素SYPRO Rubyで検出した。次に分離した蛋白をニトロセルロース膜に転写し、抗修飾シトルリン抗体(抗MC抗体)を用いてシトルリン化蛋白を検出した。同様にRA及び健常人血清を用いてRA自己抗原を検出した。その結果、全蛋白990スポットのうちシトルリン化蛋白スポットが51個、RA自己抗原スポットが94個検出され、そのうち30スポットがRA自己抗原かつシトルリン化蛋白であった。これらのシトルリン化自己抗原を、質量分析法を用いて同定を試み、30スポット中13スポットの蛋白を同定しえた。そのなかには、既に報告のあるフィブリノーゲンの他、新規シトルリン化自己抗原としてF-actin capping protein alpha-1 subunit(CapZα-1)およびasporinなどの8個を同定しえた。組換えCapZα-1を作成し、PADを用いたシトルリン化の有無で抗原性を解析した結果、自己抗原決定基にはシトルリン化依存性と非依存性のものがあり、患者によりどちらか一方または両者に対する自己抗体を持つことが明らかとなった。Asporinにおいても組換え蛋白を作成し、同様の検討を加えている。<BR>以上より、シトルリン化とRA自己抗原性は密接に結びついているが、必ずしも一致せず、個々の患者によっても異なると結論され、個々のシトルリン化自己抗原についての詳細な検討が必要である。
収録刊行物
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- 日本プロテオーム学会大会要旨集
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日本プロテオーム学会大会要旨集 2007 (0), 142-142, 2007
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680612170112
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- NII論文ID
- 130006997930
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可