水田における絶滅危惧種エチゴモグラ(Mogera etigo)の生息に影響を及ぼす因子
Description
越後平野中心部などに分布するエチゴモグラ(Mogera etigo)は,アズマモグラ(M. imaizumii)との種間競合や主要な生息地である水田の環境改変に伴い分布域が縮小している.2010~ 2012年に越後平野の 186ヶ所でこれら 2種のモグラ類の生息状況を調査し,土壌硬度や圃場整備状況との関連を多項ロジスティック回帰によって分析した.<br> 各調査地に生息するモグラの種は,現地で坑道の横径を測定し,45 mm以上をエチゴモグラ,それ未満をアズマモグラとした.土壌硬度は貫入式土壌硬度計(DIK-5520, 大起理化工業株式会社製 )で,地下 5~ 60 cmまで5 cm ごとに測定し,地下 5~ 30 cmおよび 35~ 60 cmの平均値をそれぞれ浅部,深部土壌硬度とした.圃場整備状況は現地での観察と新潟県農地部農地整備課の資料により,近年の大規模な二次圃場整備が行われた場所とそれ以外を区別した.分布調査の結果は,大野ら(2012)で報告した.分析にはR(2.12.1 GUI 1.35)のパッケージ nnetを用い,step関数で変数を選択した.<br> その結果,エチゴモグラの生息に対して浅部土壌硬度(係数-7.244,標準誤差2.451)および二次圃場整備(係数-2.956,標準誤差0.804)の影響が,アズマモグラの生息に対して二次圃場整備(係数-2.727,標準誤差0.7831)の影響が認められた (AIC=149.9).深部土壌硬度および各因子の交互作用効果の影響は変数選択により除外された.アズマモグラの生息に対する浅部土壌硬度の影響は明瞭ではなかった.圃場整備は両方の種に対してほぼ同等の負の影響をもち,エチゴモグラが浅部土壌の軟らかい場所にみられることが確かめられた.<br><br>大野浩史・石田寛明・横畑泰志(2012)越後平野におけるモグラ 2種の分布と環境要因.第 59回日本生態学会大会.大津市,講演要旨集p.280.
Journal
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- Primate Research Supplement
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Primate Research Supplement 29 (0), 131-, 2013
Primate Society of Japan
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680612188544
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- NII Article ID
- 130005471502
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed