タンザニア、マハレM集団のチンパンジーの遊動パターンとベッド作成行動との関係

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タイトル別名
  • A relationship between ranging patterns and bed-building behavior of the M group chimpanzees at Mahale, Tanzania

抄録

チンパンジーのベッド作成の際の場所や樹種の選択は、彼らの遊動パターンなどに大きな影響を与えていると考えられる。一方彼らの直接観察が難しい地域では、ベッドセンサスにより、密度や土地利用などを推定することが多い。そこで、これらの点の推定の精度をより高めるためには、直接観察が可能な調査地でベッド作成行動と遊動などの関係を明らかにする必要があると考えられる。こうした観点から、チンパンジーの長期継続調査が行われているタンザニア、マハレにおいて、彼らの遊動パターンとベッド作成行動との関連を調査した。そしてセンサスから得られた情報に基づくベッド作成の特徴について分析し、ベッド作成場所として疎開林より森林が好まれること、乾季と雨季で樹種の選択に違いがあること、ベッドを作る樹種と採食樹との間には明確な関連がないことなどを明らかにし、前回の日本霊長類学会大会等において発表した。今回の発表ではこれらの点を踏まえ、ベッド作成行動と遊動との関連を分析したので、その結果を報告する。分析に用いた資料は1995年8月~12月の現地調査の際に収集した。M集団の遊動域内に三つのルートを設定し、ルートセンサスを行った。ルートから片側30メートル以内で発見されたベッドの場所、植生、「古さ」、高さ、樹種を記録した。植生は疎開林と森林の二つに分けた。「古さ」は4段階に分けて記録したが、今回の分析では、同一ルートのセンサスの平均間隔よりも崩壊速度の平均が短い、「新しい」および「中間」と判断された段階の164個のベッド(サイト数では71個)を使用した。そして調査期間が乾季と雨季に大別できることから、この二つの季節に分けて分析した。チンパンジーの遊動に関しては、同時期にチンパンジーの個体追跡を行っていた研究者が作成した遊動図を利用して解析した。これらの資料をもとに、ベッド作成行動と遊動との関連を考察した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680612633984
  • NII論文ID
    130006998494
  • DOI
    10.14907/primate.23.0.44.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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