The adaptation to bipedality from the development of the vertical climbing in chimpanzees

Bibliographic Information

Other Title
  • 二足で立つ動物と歩く動物-その差は何か:チンパンジー木登り運動の発達に見る二足性への適応

Description

霊長類は樹上空間における多様な生息環境に適応し、その結果として、それぞれ独自の運動様式とそれに対応した形態的特徴を持つようになったと考えられる。中でも、ヒトは地上生活への適応により、直立二足歩行という独自の運動様式を発達させた。二足で立つことが可能な動物は霊長類以外でも見られるが、二足による歩行能力についてはヒト以上に発達させた種は見られない。ヒトの直立二足歩行の獲得の前段階として類人猿の行う垂直木登り運動との関連がこれまで指摘されてきた。この点についてさらなる知見を得るため、チンパンジーの木登り運動の機能的特徴の発達について、運動分析による縦断的研究を行ってきた。  被験体として用いたのは、林原類人猿研究センターにおいて飼育されているチンパンジー4頭で、同センターの協力により、2001年11月より年2回、約6ヶ月ごとにその垂直木登り運動のビデオ撮影を行い、その運動パターンの分析を継続して行っている。木登りには直径15cm、高さ5.5mの木製の柱を用いた。被験体はあらかじめ飼育担当者により、木登り運動のトレーニングを行った。<br>  結果として、発達にともない上肢に比べて下肢の運動の変化が大きく、下腿や足関節の底屈による下方への押し出しの働きが弱くなる傾向がある。上肢に関しては身体を上方へ引き上げる働きから身体を支える機能への変化が見られたが、この点に関しては個体による差が見られた。こうした変化や個体差は、成長の程度とともに体重増加が関係していると考えられる。木登り運動は、地上での運動と異なり、重力に抗する運動であるため身体の支持に大きなエネルギーが求められる。身体の支持は、手掌部や足底部の摩擦力に相関しており、垂直方向とともに水平方向への力を増大させる必要があると考えられる。こうした発達による変化がヒトの二足歩行の機能的特徴の進化へ与えた影響について検討する。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680612667776
  • NII Article ID
    130006998526
  • DOI
    10.14907/primate.23.0.119.0
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top