GISモデルによる土地利用と農業人口動態を相関要因としたニホンザル生息地域拡大分析

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タイトル別名
  • GIS model for the expansion of the Japanese monkey habitat in Chiba Prefecture including land use and rural demographic correlates.

抄録

ニホンザル個体群の一部は分布を拡大させている現象が近年見受けられる。その背景には分布拡大を許す土地利用や農業人口動態が要因として存在すると想定できる。しかし、空間要因が加わる現象の量的な分析は難しい。本研究では千葉県房総半島を対象にニホンザル生息地域と土地利用と農業人口動態を取り入れたGISモデルを構築し、それらの要因間の関連性を分析した。GISモデルはコスト距離解析を応用し、分布域境界の形状が、分布拡大の出発点からの距離のみではなく、土地利用と農業人口の分布と関連があるかを年次別に探求した。コスト距離解析はラスタ型空間データにおいて二地点間の距離を測るうえで単純距離(セル数)に、他の要因のコストを加算する手法である。土地利用データは環境省現存植生図を使用した。土地利用毎のコストは既往研究で開発した探索アルゴリズムで計算した。解析対象の集落は房総のサル管理調査会らによる1966年から2000年のニホンザル生息地域に掛かる集落を抽出した。農業人口動態データは1970年から2000年まで5年間隔で実施された農林業センサスの農業集落カードに基づき農地、集落、農業人口データを使用し、それらの値をモデルに加えた。ニホンザル分布拡大の出発点は房総半島において1920年代にニホンザルが残存する地域として報告されていた高宕山と石尊山の頂上とし、コスト距離を外延方向に派生させた。解析の結果、出発点からの単純距離よりもコスト距離の方が分布域境界の形状と相関が高かったので、GISモデルにより土地利用や農業人口の影響を表すことができた。ただし、農業人口動態要因の値にニホンザル生息地域の中心から外に向かって傾斜が存在するのでサルの分布拡大と相関するが、統計検定の結果はどの要因を含めるか、またはその順番によって異なったので、より詳細な解析が必要がある。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680613057920
  • NII論文ID
    130006999037
  • DOI
    10.14907/primate.24.0.108.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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