天然放射性鉱石から水中への放射性核種の浸出率に及ぼす環境諸因子の比較検討
書誌事項
- タイトル別名
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- The effects of environmental factors on the leaching of radionuclides included in radioactive minerals
抄録
【目的】三朝(鳥取県)やバドガスタイン(オーストリア)はラドン温泉療法で世界的に有名である。また,その温泉を模擬し,天然の放射性鉱石から放出されるラドンを用いた人工ラドン温泉も利用されてきた。この際,放射性鉱石から溶液へ浸出するラドンは数%で目的のラドン濃度を得るのは容易ではないため,ラドン浸出率を規制値以下においてより上昇させる条件や方法について検討した。<br>【方法】溶液へのラドン浸出率を上昇させる因子として,鉱石の粒径(<63 μm,63~250 μm,250~500 μm,500 μm~1.0 mm,1.0~2.0 mm),水温(5,25,40,55℃),さらには超音波振動(例えば40 kHz:1,2,3 hr),pH(2~12,一部既報)を挙げ,各条件における放射性核種(214Pb,212Pb)の浸出率を求めた。試料として,岡山大学三朝医療センターラドン高濃度熱気浴室の源泉の泥土,バドガスタイン関連施設の鉱石,また,人工ラドン温泉に使用されている鉱石を粉末状にし用いた。<br> 【結果と考察】いずれの鉱石も,例えば,次の現象を示した。1)浸出率は鉱石の粒径63 μm以下で最大値を示したが,それ以外の粒径ではあまり変化がみられなかった。理論上,粒径が小さいほど浸出率は高くなる。しかし,実際はそれと異なる結果となったため,鉱石の結晶内部から表面まで連結された孔の存在の可能性が示唆できた。2)浸出率は,溶液の温度が高くなるほど,超音波振動の時間が長くなるほど,溶液の酸性度が高くなるほどそれぞれ高くなった。これより,粉末状鉱石が加熱や振動されることに伴い溶液中にラドンが浸出しやすいこと,また酸性度を高くすることで酸分解の生じやすいことが定量的に確かめられた。
収録刊行物
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- 日本放射線影響学会大会講演要旨集
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日本放射線影響学会大会講演要旨集 2006 (0), 228-228, 2006
一般社団法人 日本放射線影響学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680616388992
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- NII論文ID
- 130006999529
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可