セミ定量スペクトルカウント法を用いたLC-MSによるバイオマーカー探索
書誌事項
- タイトル別名
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- Biomarker Discovery using Semi-quantitative LC-MS-based Proteomics with Spectral Counting
説明
バイオマーカー開発において、探索的研究によって得られた結果をいかに迅速かつ効率的に検証実験に結びつけるかが重要と考える。現在、がんの早期診断、予後予測に有効なプロテインバイオマーカー開発の一環として、手術検体を対象に質量分析技術を駆使した組織のプロテオーム解析を実施し、見出されたバイオマーカー候補の抗体による検証実験を展開している。バイオマーカー探索の基盤となるプロテオーム解析はLC-MSによるショットガン法を適用し、症例対照試験における群間比較にセミ定量スペクトルカウント法を応用いている。組織検体は、ホモゲナイズして得られたタンパク質抽出物をトリプシンを用いて全消化後、LC-MSによるプロテオーム解析に供される。このショットガン法により、約500種類以上のタンパク質が一斉同定解析される。それと同時に、がん組織と正常組織などの比較対照のタンパク質は、その同定解析で用いられるスペクトルのカウント数に基づいて比較解析される。このセミ定量スペクトルカウント法は実験的にもデータ処理においても簡便かつ迅速に目的とする発現差異タンパク質を見出すことが可能である。したがって、次に控えるウエスタンブロット法や免疫染色法といった生物学的検証実験に早期に移行することができる。しかし一方で、このセミ定量スペクトルカウント法を用いた発現差異解析は、組織検体をいかにノーマライズして試料調製するか、ショットガン法における再現性をどのように確保するかなど、注意しなければならない課題もある。 本発表では、セミ定量スペクトルカウント法を用いたLC-MSによるバイオマーカー探索について、これらの課題に対する対応を踏まえた実施例を挙げて本アプローチの詳細を紹介したい。手術検体を対象としたがん関連タンパク質の探索への応用として、スペクトルカウント法によるセミ定量評価に加え、その結果に基づくウエスタンブロット法と免疫染色法による検証実験の結果も併せて議論したい。
収録刊行物
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- 日本プロテオーム学会大会要旨集
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日本プロテオーム学会大会要旨集 2009 (0), 93-93, 2009
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680616483456
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- NII論文ID
- 130006999612
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可