広島原爆による黒い雨地域での放射能降下量の再検討

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  • Reevaluation of radioactive fallout in the black rain area by the Hiroshima atomic bomb

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広島原爆によるローカルなフォールアウト汚染は、爆心地西方約3kmの己斐・高須地区において顕著だったことが、原爆直後の放射線サーベイならびにサンプリング測定によって認められている。一方、“黒い雨”の降った地域はもっと広汎で、北西方向30kmでもかなりの降雨が観察されている。己斐・高須地区以外での黒い雨にともなう放射能汚染は、山間部であったためか原爆直後に放射能モニタリングは実施されていない。また、1970年代に実施されたセシウム137とストロンチウム90の土壌汚染調査では、大気圏内核実験によるグローバルなフォールアウトの影響が強く、広島原爆に関する有意な結果を見いだすことが出来なかった。我々のグループは最近になって、黒い雨地域の土壌から、広島原爆中での235U(n,g)236U反応に由来すると考えられるウラン236を検出した。現在、ウラン236の測定数を増やすとともに、ウラン236量に基づいてセシウム137などの核分裂生成物降下量を評価する方法を検討している。最終的には、気象モデル計算と組み合わせて降雨地域の再検討を行うとともに、フォールアウトからの外部被曝量ならびに内部被曝量の評価を試みる。

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