重粒子線によるラット胎児期被ばくの影響:精巣の発達と生殖力

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タイトル別名
  • Radiation Effects from Prenatal Exposure to Accelerated Heavy Ions on Testicular Development and Reproductivity in Rats

抄録

胎齢15日目でのWistar ラット雄性胎児の重粒子線での胎内被ばくの影響を、0.1 Gy から2.0 Gy の線量範囲で、胎児生殖腺、出生後の精巣の発育、生殖力について調べた。比較としては、200 kVp のX 線を使った。2.0Gyでの離乳前の子供の死亡率は、ネオン線、炭素線、X線でそれぞれ、100%、18%、12%となった。ネオン線では0.1Gy程度の低い線量でも、離乳前の子供の死亡率や睾丸重量、体重に対する睾丸の重量の割合に有意な変化が見られた。炭素線やX線では、照射線量が0.5Gy以上になると、一般的に目立った効果を引き起こした。0.5Gy以上の照射は、線量依存的に生殖母細胞のアポトーシスを誘導し、出生前死亡を増加させ、睾丸の下降をおくらせ、睾丸重量を軽くし、体重に対する睾丸重量の割合を変化させ、精細管の奇形を増加させた。 1.0 Gyあるいは 1.5 Gyの照射を胎児期に受けると、雄の場合、 非照射の雌との交尾の成功率に顕著な減少が見られた。一方、胎児期に0.5Gy以上照射を受けた雄と非照射の雌との間の子供に、出生前死亡と離乳前の死亡率の有意な増加が見られた。これらのことは、妊娠15日目での胎児への照射が、雄性ラット胎児の発育や生後の精巣の成熟や生殖力に対して、広範囲にわたって著しく有害な影響を引き起こすことを示している。そしてその影響は、線量とLETに関係していた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680616797568
  • NII論文ID
    130006999893
  • DOI
    10.11513/jrrsabst.2006.0.317.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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