SOBP炭素線における10cmと5cm照射野サイズに対する絶対線量の評価

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  • Evaluation of absolute doses for irradiation fields of diameter of 10 cm and 5 cm in SOBP carbon ion beams

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説明

静的な照射法による粒子線治療では、腫瘍に対して一様な効果を得るためにリッジフィルタを用いて深部方向にブラッグピークを広げたSOBPビームを用いている。そのためSOBP内は、様々なエネルギーの一次粒子やフラグメント粒子が混在した領域となっている。現在、SOBP内の線量測定には、一般的に電離箱が用いられており、吸収線量の決定には実際のSOBP内の線質情報による物理パラメータが良く分かっていないことから、単一エネルギーの線量測定に用いられる線質補正係数を使用している。カロリメトリは原理的に直接エネルギー量を測定することから、最も直接的な線量測定法である。SOBP内に設置されたグラファイトカロリメータを用いて線量測定を行うことにより、SOBP内での吸収線量を高精度に決定した。  エネルギー290MeV/n、SOBP60mm、照射野の直径10cmと5cmの炭素線を用いてグラファイト中でのSOBP中心位置でカロリメータ測定を行い、SOBP中心の絶対線量を決定し、同様のジオメトリと測定位置で電離箱による線量測定を行った。使用した電離箱は平行平板型電離箱と指頭型電離箱である。次に水中でSOBP中心において電離箱による線量測定を行った。カロリメータによって求められた吸収線量と電離箱による線量の比較を行い、電離箱の線量測定の検証を行った。 290MeV/nの炭素線、SOBP60mmの中心位置において、線量測定プロトコルのIAEA TRS 398に従って計算された線質補正係数を用いた場合には、電離箱によって得られた吸収線量はカロリメータによって得られた吸収線量に比べて3%程度小さい値となった。直径10cmと5cmの照射野でのSOBPビームに対するカロリメータによる線量測定と電離箱の線質補正係数の詳細な結果について報告する。

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