健康リスクの地理的相関研究とたばこ税収入額の地域変動

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  • A Study of Tobacco Tax Income Area Variations for Geographical Correlation Study of Health Risks

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抄録

【目的】原発など環境汚染源周辺地域の健康リスクの増加の懸念がしばしば見られる。地理的相関研究による環境汚染源周辺の健康リスクの暦年・地域変動の適切な理解を図る。【資料】主に2005年の行政地域単位(都道府県別、市町村別)の国勢調査に基づく人口データと地方財政状況調査(決算カード)に基づくたばこ税収入額。比較のため1995年の道府県たばこ税及び1997年の市町村たばこ税も用いた。【方法】喫煙率は1995と1997年で36.6%、2005年で29.8%と仮定。たばこ税収入額を喫煙者(20歳以上)当たり1日当たり箱(20本)単位の昼間人口調整済たばこ消費量に換算。【結果】2005年のたばこ税収入額で自治体の奨励金が原因と思われる人為的変動が一部地域に見られた。喫煙者の常習性から喫煙者当たりのたばこ消費量はあまり変動しないと期待したが、都道府県又は市町村別のそれらはかなり変動していた。1995年の道府県たばこ税のものと比べてたばこ消費量が0.1箱以上の増減が見られたのは東京都周辺と滋賀県周辺であった。前者で地域別喫煙率の違いが部分的に寄与しているだろう。後者で人為的変動が一つの原因であった。1997年の市町村税のものと比べて、2005年の東京都23区で喫煙者当たりのたばこ消費量は一般的に減少していた、また同年の17の原発所在市町村の内8市町村でたばこ消費量に0.1箱以上の増減が見られた。地理的相関研究は環境汚染源からの方向や距離に基づく規格化された小地域単位(例えばメッシュ単位)による健康リスク評価が理想的であるが、行政単位に基づく人口動態統計に依然として依存せざるを得ない。社会人口学的因子として地域別たばこ税収入額は有用であろう。

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