シロスタゾール前処理によるカドミウムおよび亜ヒ酸の細胞毒性の軽減
書誌事項
- タイトル別名
-
- Protective effects of cilostazol pretreatment on cadmium- and arsenite-induced cytotoxicity in cultured vascular endothelial cells
抄録
【目的】シロスタゾール(CSZ)は血小板凝集抑制作用、血管拡張作用に加え抗動脈硬化作用を有していることが示唆されている。また、CSZは重金属の解毒などに関与するメタロチオネイン(MT)の合成をin vivoおよびin vitroにおいて誘導することも報告されている。そこで今回、動脈硬化症を含む血管病変の危険因子であるカドミウム(Cd)および亜ヒ酸を用いて血管内皮細胞傷害に対するCSZの効果を検討した。<BR>【方法】ウシ大動脈由来血管内皮細胞を、CSZ(3-100 µM)で24時間前処理した後、Cd(10 µM)または亜ヒ酸(20 µM)でさらに24時間処理した。細胞毒性の指標として、培地中に逸脱したLDH活性の測定および形態学的な観察を行った。また、CSZ 処理後の細胞中MTのmRNA量およびタンパク質量をリアルタイムRT-PCR法並びにWestern blot法によりそれぞれ検出した。<BR>【結果および考察】血管内皮細胞において、Cdおよび亜ヒ酸によるLDH活性の上昇が、30 µM以上のCSZを前処理することによってともに有意に減少した。このとき、形態学的にもCdおよび亜ヒ酸による細胞層の傷害がCSZ前処理により軽減されることが観察され、CSZの前処理がこれらの有害金属による細胞毒性に対して軽減効果を有することが示された。なお、Cdおよび亜ヒ酸によるLDH活性の上昇はCSZ同時処理の影響をほとんど受けなかった。また、細胞内MTのmRNA量とタンパク質量はCSZの処理によってともに増加することが認められた。以上の結果より、Cdや亜ヒ酸による血管内皮細胞傷害がCSZの前処理によって軽減されることが明らかとなった。しかも、このようなCSZの作用は、CSZによって誘導合成されたMTが関与している可能性が示唆された。
収録刊行物
-
- 日本トキシコロジー学会学術年会
-
日本トキシコロジー学会学術年会 36 (0), 4118-4118, 2009
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680634232576
-
- NII論文ID
- 130007002847
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可