エストロゲン応答性レポーターTGマウスを用いた 2,3,7,8-TCDDのエストロゲンシグナルに対する影響評価

  • 北村 翔
    岐阜薬科大学大学院 衛生学研究室
  • 吉田 一郎
    岐阜薬科大学大学院 衛生学研究室
  • 浦田 聖
    岐阜薬科大学大学院 衛生学研究室
  • 角 友一郎
    大阪大学大学院 薬学研究科毒性学分野
  • 東 由貴江
    大阪大学大学院 薬学研究科毒性学分野
  • 中西 剛
    岐阜薬科大学大学院 衛生学研究室 大阪大学大学院 薬学研究科毒性学分野
  • 永瀬 久光
    岐阜薬科大学大学院 衛生学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Estrogenic or anti-estrogenic activity of 2,3,7,8-TCDD in estrogen reporter mice

説明

目的:2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)などのダイオキシン類は,ダイオキシン受容体(AhR)のアゴニストとして作用 し様々な毒性を惹起する一方,培養細胞を用いた系において,AhRを介してエストロゲン作用または抗エストロゲン作用という相反す る作用を示すことが報告されている。しかし生体内でTCDDがどの臓器でどちらの作用を示すかについては依然不明な点が多い。そこ で我々は,エストロゲンに応答するレポーター(E-Rep)マウスを作成し,このE-Repマウスを用いてTCDDの各臓器におけるエストロ ゲンシグナルへの影響を検討し,その作用機構の解明を試みた。<BR> 方法:レポーター遺伝子は,エストロゲン応答配列制御下でMycタグとルシフェラーゼ(Luc)の融合蛋白質を発現する遺伝子を連結し て作成した。これをBDF1受精卵へ導入することでE-Repマウスを作成し,得られたfounderマウスのライン化を行った。E-Repマウ スのエストロゲン応答性評価は,エストラジオール(E2:100μg/kg)を2日間連続皮下投与し,最終投与6時間後に解剖して各臓器の Luc活性を測定した。TCDDの影響評価では,E2投与前にTCDD(30μg/kg)をE-Rep雄マウスに腹腔内投与し検討を行った。<BR> 結果・考察:得られたfounderマウスからF2世代を作成しE2応答性について検討したところ,ラインによって各臓器の反応性は異な るものの,3ラインの雌雄ともにE2投与開始から2日目に最大のLuc活性を示した。次にTCDDについて検討を行ったところ,TCDD 単独投与でも各臓器のLuc活性が上昇した。一方でTCDD+E2投与群では,E2単独投与群と比較して肝臓などではLuc活性が低下する 傾向が認められたが,精巣などではLuc活性が上昇する傾向が認められた。以上の結果より,TCDDはエストロゲンシグナルが低い状 態では多くの臓器でエストロゲン作用を示すが,高い状態では臓器特異的にエストロゲン作用または抗エストロゲン作用を示すことが 示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680634776448
  • NII論文ID
    130007003250
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.287.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ