DMSOがヒト凍結肝細胞の遺伝子発現に与える影響

  • 住田 佳代
    住友化学(株)生物環境科学研究所所
  • 五十嵐 芳暢
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)
  • 鳥塚 尚樹
    エーザイ(株)応用薬理・新技術部
  • 松下 智哉
    中外製薬(株)安全性研究部
  • 阿部 香織
    大塚製薬(株)徳島研究所
  • 青木 幹雄
    大日本住友製薬(株) ゲノム科学研究所
  • 漆谷 徹郎
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2) 同志社女子大学 薬学部
  • 山田 弘
    (独)医薬基盤研究所 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)
  • 大野 泰雄
    国立医薬品食品衛生研究所

書誌事項

タイトル別名
  • The effects of DMSO on gene expression in human hepatocytes

説明

【目的】ジメチルスルホキシド(DMSO)は細胞を用いたアッセイにおいて脂溶性の化合物を添加するときによく用いられる。しかし,DMSOはその濃度が高くなると, 細胞毒性を呈することが知られており,DMSOの細胞に対する種々の影響をよく踏まえておくことが必要である。今回,我々はDMSOがヒト凍結肝細胞の遺伝子発 現に与える影響を検討した。<BR> 【方法】1.2x106個のヒト凍結肝細胞を6ウエルプレートに播種し,4時間後に培地交換した後,さらに20時間培養した。0,0.1,0.5,0.75,1,2%(v/v)DMSOを 含む培地に交換し,24時間培養した。細胞播種から48時間後に培地及び細胞の全RNAを回収した。培地内のラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定し,細胞 毒性を評価した。また,HGU133Plus2.0アレイ(アフィメトリックス社,約55,000プローブ搭載)を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い,DMSOの影響を検討した。<BR> 【結果】LDH活性を指標とした細胞毒性は,DMSO濃度2%(v/v)まで認められなかった。遺伝子発現データを解析した結果,DMSO濃度0.75%(v/v)において,2倍 以上あるいは1/2以下の発現変動を示した遺伝子数はそれぞれ11個,46個と少なかった。また,薬物代謝酵素の発現への影響を解析した結果,大半の酵素に関して, DMSO濃度0.75%(v/v)までは発現変動の振れ幅が1標準偏差内に収まり,大きな影響は認められなかった。今回得られた結果を総合的に考察すると,少なくとも DMSO濃度0.5%(v/v)までは遺伝子発現データに大きな影響を与えないことが示唆された。現在,ラット初代肝細胞を用いてDMSOの影響を検討中であり,合わせ て報告したい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680635582848
  • NII論文ID
    130007003779
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.246.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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