タバコ煙抽出液の直鎖状長鎖DNAに対する切断活性の1分子直接観察に基づく速度論 解析

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タイトル別名
  • A new kinetic analysis of double-strand break on large DNA molecules based on singlemolecule observation

抄録

[背景]喫煙はがんを引き起こす要因の1つである。がんについての研究が世界中で行なわれ,そのメカニズムが明らかにされてきている。 がんが引き起こされる原因の1つとしてDNA突然変異があり,DNA損傷と喫煙の関係について詳細な知見を得ることは極めて重要であ ると考えられる。本研究では,従来法では難しい個々の分子の挙動や長鎖DNAに対する解析を行うため,蛍光顕微鏡を用いた1分子観 察によるDNA損傷の解析を試みた。<BR> [方法]既報に従いタバコ煙抽出液を調製し,従来法であるアガロースゲル電気泳動により調製したタバコ煙抽出液によるDNA損傷の解 析を行なった。続いて長鎖DNAとタバコ煙抽出液を反応させ,そのDNAをガラス基板上に固定させて個々のDNA鎖長を直接計測した。<BR> [結果および考察]アガロースゲル電気泳動による解析では環状2本鎖DNAを用いた。その結果,1本鎖切断による環状DNAの構造変化 が観察された。1分子DNA蛍光観察によるDNA損傷の解析では,直鎖状長鎖DNAを用い,タバコ煙抽出液の濃度の上昇と反応経過に伴っ てDNA鎖長が減少している様子を直接観察することに成功した。また反応速度論的解析を行ったところ,切断頻度を定量化することが でき,得られた切断頻度がタバコ煙抽出液の濃度に比例することが示された。<BR> [結論]1分子観察法を用いて,電気泳動法では困難であったタバコ煙抽出液による長鎖DNAの切断が解析を行い,切断反応の反応速度 論的解析が可能であることが示された。本手法は他の化合物等によるDNA切断やその抑制物質の探索にも適用されると期待される。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680635661568
  • NII論文ID
    130007003864
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.263.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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