フローサイトメーターによるラット骨髄検査法: 細胞分類に関する2つの方法の検討,および有核細胞数との同時測定について

DOI
  • 倉田 昌明
    ファイザー株式会社,中央研究所,安全性研究統括部,毒性研究室
  • 飯高 健
    ファイザー株式会社,中央研究所,安全性研究統括部,毒性研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Rat bone marrow examination using flow cytometry: Investigation for two different methods of cell classification and simultaneous measurement for total nucleated cell counts

抄録

目的:フローサイトメーター(FCM)によるラットの骨髄細胞分類について,2つの方法を検討し,有核細胞数との同時測定も試みた。<BR>方法:骨髄細胞はラット(Crl:CD(SD)系,雄)の大腿骨から得た。FCMによる方法は,(1)DNA蛍光染色と標識抗体による方法(DNA染色法),および(2)蛍光色素2’,7’-dichlorofluorescinによるペルオキシダーゼ活性を指標とする方法(DCF法)を用いた。前者では,有核細胞集団と内部標準の比較から,有核細胞数も計数した。FCMはCoulter Cytomics FC500を用いた。また,有核細胞数測定の比較のためSysmex F-820(電気抵抗法)も使用した。<BR>結果:(1)DNA染色法では,DNA蛍光染色剤DRAQ5による有核細胞集団区分を基本として,第1試験管にてCD11b/c-FITCとCD71-PEで顆粒球系と赤芽球系細胞を分類し,第2試験管にてCD3-FITCとCD45RA-PEでTとBリンパ球を分類した。いずれの試験管でも有核細胞集団と内部標準(Flow Count)の比率から,有核細胞数算定が可能であった。(2)DCF法では,DCF蛍光と細胞径を指標に,顆粒球系集団と他の細胞集団(赤芽球系+リンパ球系)を区分した。DNA染色法の第二試験管のリンパ球比率を用いることで,赤芽球系の比率も算出可能であった。(3)DNA染色法とDCF法による細胞分類比率は,いずれも目算の値と同等であった。また,DNA染色法の有核細胞数は,電気抵抗法と同等であった。<BR>結論:今回の成績は,FCMによりラットの主要な骨髄細胞の分類と有核細胞数測定が可能であること示している。FCMは,細胞分類を免疫学的・生化学的観点から行うことができ,細胞形態観察と組合せることで,より多面的で精度の高い毒性評価が期待される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680636228480
  • NII論文ID
    130007004246
  • DOI
    10.14869/toxp.33.0.237.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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