GSH枯渇マウスを用いたアモジアキンの肝毒性発現検討

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  • Evaluation of the hepatotoxicity induced by amodiaquine in glutathione-depleted mice model

抄録

[目的] 薬物が代謝活性化を受けて生成した反応性中間体が生体高分子と共有結合すると,細胞壊死や,ハプテンとなって免疫系を介する障害が生じる場合がある.一方で反応性代謝物による毒性は動物で再現されないことも多い.近年,glutathione(GSH)合成阻害剤であるL-buthionine-(S,R)-sulphoximine (BSO)を投与することで肝GSHを枯渇させた動物にacetaminophen等の反応性代謝物を生成する薬物を投与し,反応性代謝物による毒性を検出した例が報告されてきている.今回,反応性代謝物を生成して臨床でidiosyncraticな肝毒性を生じるamodiaquine(AQ)を用いてGSH枯渇マウスの肝毒性評価モデルとしての有用性を検討した.[材料/方法] BALB/cマウスへBSO(700mg/kg, ip)を投与した1時間後にAQ(180 mg/kg, po)を投与した.投与3, 6, 24時間後に血漿および肝臓を採取し,血漿中ALT活性測定,肝GSH量測定および肝病理組織学的検査を実施した.また,14C-AQ(180mg/kg, po)を投与し,血漿および肝臓中の共有結合量を測定した.[結果/考察] BSO処置群では肝GSHは大きく低下し,3時間後にはcontrolの15%となった.BSO単独およびAQ単独投与では肝障害は認められなかった.一方BSOとAQを併用すると,24時間後には小葉中心性の著しい細胞壊死が認められ,約半数のマウスが死亡した.上記の肝障害はP450代謝阻害剤であるaminobenzotriazole(ABT)を前投与することで完全に抑制され,今回生じた肝障害はP450代謝依存的な毒性であることが示唆された.14C-AQを用いた検討から,BSO処置群ではAQによる共有結合量が増加したことが明らかとなり,GSHが枯渇することでP450により生成したAQ quinoneimineのGSH抱合が不充分となって共有結合量が増加し,その結果として肝障害が発現したことが示唆された.従って,GSH枯渇マウスは,反応性代謝物によるidiosyncraticな肝障害を検出するために有用なモデルの1つであると考えられた.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680636330624
  • NII論文ID
    130007004311
  • DOI
    10.14869/toxp.34.0.5077.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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