強毒性物質4-hydroxy-2(<I>E</I>)-nonenalのグルクロン酸抱合による代謝

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  • Glucuronidation of 4-hydroxy-2(<I>E</I>)-nonenal, a cytotoxic product from lipid peroxidation

抄録

【目的】4-Hydroxy-2(E)-nonenal (4-HNE)は、n-6系多価不飽和脂肪酸から脂質過酸化反応によって生じる主要なα,β-不飽和アルデヒドであり、生体高分子を共有結合的に修飾する内因性の強毒性物質である。膜脂質過酸化反応により生成した4-HNEは、小胞体膜酵素であるUDP-glucuronosyltransferase(UGT)が最初に出会う代謝酵素となり、グルクロン酸抱合を受ける可能性がある。そこで本研究では、4-HNEのグルクロン酸抱合体が生成するか否かについて4-HNEの光学異性体を用いて検討すること、そして生成した抱合体の求核残基との反応性を検討し、この反応が解毒反応であるかを明らかにすることを目的とした。<BR> 【結果・考察】ヒト肝ミクロソーム画分により、4-HNEからUDPGA依存的に生成する代謝物が検出された。この代謝物は、LC/MSおよびLC/MS/MS分析の結果から4-HNEのグルクロン酸抱合体であることが強く示唆され、4-HNEはUGTによっても抱合代謝されることが初めて明らかになった。各種発現ヒトUGTを用いて反応に関与する分子種を検討した結果、UGT2B4およびUGT2B7のみが両4-HNE異性体に対して抱合活性を示した。なお、この抱合反応はいずれの分子種においても4(S)-体に対して立体選択的であった。反応の動力学的解析の結果、4(S)-体に優位な立体選択性は、Vmax値の差によるものであった。さらに、4-HNEのグルクロン酸抱合体のpH 7.4における安定性およびGSHとの反応性を検討した結果、4(S)-と4(R)-HNE glucuronideの25°Cにおける半減期は、それぞれ2.5 hr および20 hrであった。このジアステレオマー間での安定性の差から、分子内反応による六員環形成の可能性が示唆された。また、両4-HNE glucuronide異性体は、4-HNEと同程度のGSHに対する反応性を有していた。これらのことから、4-HNE のグルクロン酸抱合反応は単なる解毒経路ではない可能性も考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680636858240
  • NII論文ID
    130007004545
  • DOI
    10.14869/toxp.34.0.1033.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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