ウシグソヒトヨタケの子実体形成に必須の<I>prd1</I>遺伝子はSAM, Ras結合及びSH3ドメインをもつタンパク質をコードする

書誌事項

タイトル別名
  • The <I>prd1</I> gene essential for fruiting in <I>Coprinopsis cinerea</I> encodes a protein with SAM, Ras-Association and SH3 domains

説明

ウシグソヒトヨタケの子実体形成開始にかかわる遺伝子の同定を目指して, この過程が起こらない突然変異体B28株(AmutBmut pab1-1 prd1-1)をrestriction enzyme-mediated integration (REMI)により誘発・分離した. 表現型分析の結果, B28株の変異は多面発現を示し, 子実体形成だけでなくフェロモン応答も阻止することが判明した。すなわち, B28株の栄養菌糸においてクランプ細胞は次端細胞に融合せず成長を続け, またこの変異をもつ一核菌糸においては二核化のための核移動が起こらない. 遺伝分析の結果, B28株の変異は, 劣性であり, REMIに用いたプラスミドpPHT1の挿入によることが示された. そこで, プラスミドレスキュー法により, B28株からプラスミド脇のゲノム断片をクローニングした。その結果, プラスミドは, ゲノムアノテーションが予想する遺伝子GLEAN_gz2_12963内に挿入されていることがわかった。そこで, この遺伝子の全長を含む約3.3 kbのゲノム領域をPCR増幅し, 形質転換によりB28株に導入した. その結果, このゲノム断片がB28株の変異を相補することがわかり, GLEAN_gz2_12963がB28突然変異の原因遺伝子prd1であることが明らかとなった. prd1遺伝子のORFは, 8個のイントロンにより分断されており, 663個のアミノ酸からなるPrd1タンパク質をコードしていることを5’及び3’ RACE実験, cDNA及びゲノムDNAのシークエンスにより確定した. BLAST及びPfam検索の結果, Prd1は, SAM, Ras結合及びSH3ドメインをもち, 異型担子菌Ustilago maydisのフェロモンシグナル伝達経路で働くUbc2のホモログであることが判明した. 以上より, フェロモン応答が子実体形成にかかわっていることが示唆された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680637271808
  • NII論文ID
    130007004700
  • DOI
    10.11556/msj7abst.53.0.102.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ