<I>Sistotrema</I> 属および類縁属菌における菌糸隔壁部の超微細構造と系統

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タイトル別名
  • Septal ultrastructure and phylogeny of <I> Sistotrema</I> and its allied genera

抄録

担子菌門,アンズタケ目に所属するSistotrema 属は, 多くの種において,倒木や枯枝上あるいはコケ類に背着性の子実体を形成し, 6-8本の小柄を持つつぼ型の担子器を形成することによって特徴付けられる.Nilssonら(2006)は分子系統解析に基づき,本属は少なくとも4つのクレードに分かれ,有柄のHydnum 属を含むクレードでは菌根を形成する種の存在を明らかにした.本研究では,本属菌とその類縁属菌であるBotryobasidium 属などの日本産標本および分離菌株を用いて, rDNAに基づく系統解析に加え, 担子菌門の高次分類群における系統的類縁関係を推察する上で重要な形質である菌糸隔壁孔部の超微細構造を比較検討することにより,これらの分類群の系統的類縁関係を推察した. rDNA塩基配列を用いた系統解析の結果, S. brinkmannii は複数の系統に分かれた.また, S. musicola は, Nilssonら(2006)の結果と同様にHydnum 属と類縁関係にあった.さらに,供試菌について透過型電子顕微鏡により隔壁構造を観察した結果,いずれの分類群もdolipore-parenthesome型の隔壁構造を有したが, parenthesome(以下PSとする)の構造が異なっていた.すなわち, S. brinkmannii のPSは大型の孔(直径150-300 nm)を少数持ち, S. musicola はPS に小型の孔(直径60-120 nm)を多数有していた.これらの結果から, Sistotrema 属は生態的な差異のみでなく, PSの構造的差異からも2つの系統に分けるのが妥当であると考えられた.また, Botryobasidium 属およびSistotremastrum 属のPSがSistotrema 属とは異なり,無孔のPSであったことから,アンズタケ目には異なる3つの隔壁構造が存在することが明らかとなり,本目の再分類の必要性が示唆された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680637523840
  • NII論文ID
    130007004780
  • DOI
    10.11556/msj7abst.53.0.47.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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