ロービジョン外来受診患者の転倒の頻度と程度

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抄録

<br>【目的】高齢者の転倒の危険因子として視覚障害が報告されているが、ロービジョン患者の転倒の頻度や危険因子についての報告はない。今回われわれは、ロービジョン外来受診者の転倒の頻度、回数および程度について検討した。<br><br>【対象と方法】2007年1月~2009年1月に当科ロービジョン外来を受診した患者72例のうち、転倒について聴取できた43例を対象とした。男性21例、女性22例、年齢は24歳~89歳(57.7±16.9歳)であった。<br> 転倒歴については最近12カ月で転倒したことがあったか、またあった場合にはその程度を聴取し、眼疾患以外の転倒の原因となりえる全身疾患についても確認を行った。<br><br>【結果】43例中、12例に転倒歴があり、脳梗塞、パーキンソン病など転倒の原因となりえる全身疾患を有する4例をのぞくと、視覚障害が原因と思われる転倒の頻度は8例(18.6%)であった。<br> 転倒歴のある8例の原因疾患は、黄斑変性・網膜剥離が各2例、糖尿病網膜症・緑内障・網膜色素変性症・ぶどう膜炎各1例であった。身体障害者手帳の等級は1級1例、2級1例、3級1例、4級4例、5級1例であった。<br> 転倒の回数は12カ月間で1回が2例、2~3回以内が3例、12回以上(月に1回程度)が3例であった。転倒の程度は、多くが擦過傷、打撲などの軽症であった。<br><br>【結論】ロービジョン外来受診者において、視覚障害が原因と考えられる転倒歴は比較的低いが、ロービジョンケアを行う際には十分な注意喚起は必要と思われた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680642635392
  • NII論文ID
    130007005383
  • DOI
    10.14908/jslrr5.10.0.79.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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