うっ血性心不全に2型呼吸不全を合併した一例

Search this article

Description

【はじめに】慢性心不全急性増悪などの心不全急性期では病態安定まで積極的運動療法は禁忌となるが,のちの廃用を考慮した理学療法介入が必要となる場合もある.今回,非侵襲的陽圧呼吸(NPPV)使用下に理学療法を開始し,入院前ADLに回復できた症例を報告する. 【症例】80歳代女性.診断及び合併症はうっ血性心不全,心房細動,連合弁膜症,両側変形性膝関節症.元々両杖歩行可能.前回入院時に中枢型睡眠時無呼吸(CSA)の存在が疑われていた. 【現病歴】2009年11月8日意識障害のため当院に救急搬送.搬入時の意識レベルはJCS200で,胸部写真では心拡大及びうっ血を認めた.動脈血液ガス分析ではpH 7.050,pCO2 88torr,pO2 48torr,BE -8.0mEq/l,Lac 17mg/dlと混合性アシドーシス・2型呼吸不全を認めた. 【経過】人工呼吸器装着を拒否されたため,BiPAP vision装着下に利尿薬使用となった.第1期(入院初期):換気及びうっ血改善が主目的ゆえ,床上リハが主体だった.一時,双方とも改善し離床開始となったが,再度意識レベルが低下し,床上リハに変更した.第2期(CO2貯留調整期): CO2貯留を考慮し,夜間のみBiPAP継続となった.日中は早期離床の観点から,坐位・立位へと進めた.第3期(安定期):CSAに伴う心不全増悪予防目的で夜間のみオートセットCS(ACS)装着となった.この期には積極的離床を進め,両杖歩行が可能となった.―その後も再増悪することなく経過し,自宅退院に至った.現在も夜間のみACSを装着し,入院前と同等のADLを維持している. 【考察】標準的な投薬治療に加え,NPPV使用による呼吸循環動態の安定に努めつつ,病勢に応じて理学療法を展開したことで,入院前ADLにまで改善したと考えられる.

Journal

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top