日本ロービジョン学会10年の歩みと展望

DOI

抄録

<br> 1998年1月13日、京都大学の本田孔士教授(当時)から「2000年4月に会長を担当する第104回日本眼科学会総会の専門別研究会の形で、“ロービジョン(LV)・ケアの学会”を開催してはどうか」というFAX が届いた。まさに千載一隅のチャンス。LVケアに取組んでいる眼科医が学会レベルで集うからである。<br> 8名の眼科医、2名の視能訓練士、3名の教育・福祉関係者、そして2名の看護師、計15名による第1回学会設立準備委員会を1999年4月22日に開いた。その後、数回の委員会を開き、学会名を、LVを盲も含む視覚障害と定義し、障害の語句を取るなどの理由から「日本ロービジョン学会」とした。会員は眼科医以外に広く学際的な研究者が基本的である。<br> 遂に2000年4月9日、第1回日本ロービジョン学会学術総会(田淵会長)が京都会館で開催された。第2回(高橋会長)に漫画家赤塚不二夫氏から学会ロゴが贈呈された。第3回(山縣浩会長)、第4回(新井会長)までは単独開催、第5回(簗島会長)は日本臨床視覚電気生理学会と、第6回(山縣祥隆会長)、第7回(小田会長)、第8回(白木会長)は視覚障害リハ協会の研究発表大会と、第9回(大音会長)は日本眼科看護研究会と、共同開催された。第10回(永井会長)は再び単独学会として開催される。LVケアに関する医学的、福祉社会的、看護的、教育心理的および医療工学的な研究がこれほど多くあるのかといつも驚かされる。<br> 会員数は当初365名から622名、賛助会員も24社から29社に、眼科施設でのLVクリニックも増えているが、今後の本会の発展には、やはり眼科臨床最前線での眼科医のLV者への初期の関わりが最も重要であることを強調したい。「LV指導料」などの保険収載が実現すると、眼科医や視能訓練士の関わりは急速に拡大し本会もより充実すると信じている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680642699008
  • NII論文ID
    130007005470
  • DOI
    10.14908/jslrr5.10.0.38.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ