笑いが認知課題中の脳活動に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • -近赤外分光法による検討-

説明

【目的】近年,笑いが内分泌系や免疫系に影響し,快の笑いは前頭前野の活動を賦活させることが明らかにされている。本研究の目的は,笑いを惹起するビデオをストレス課題前に視聴させ,事前の笑いがストレス課題中の前頭前野の脳活動に及ぼす影響を明らかにすることである。<BR>【方法】対象は,研究実施前に実験内容を十分説明し同意の得られた健常成人12名であった。対象者には,椅子座位で,安静後に笑いのビデオと観光案内のビデオ(各10分間)を視聴させた。ビデオの視聴順序はランダムとした。認知課題(PASAT)を安静後と各ビデオ視聴後の3回実施した。脳血流反応の計測は,光トポグラフィ装置ETG-7100(株式会社日立メディコ社製)を使用し,前頭前野領域の酸素化ヘモグロビン値(以下,oxy-Hb値)を求めた。プローブは,前頭前野領域を覆うように装着した。PASAT実施中のoxy-Hb値から効果量(Effect Size)を算出した。統計処理は,各条件時の前頭前野(全体・左右)のoxy-Hb値の比較にはMann–WhitneyのU検定とBonferroni correctionを用い,PASAT点数の比較にはANOVAとTukeyのHSDを用いた。各条件時の左右前頭前野の比較にはWilcoxonの符号付順位検定を用いた。有意水準は危険率5%未満とした。<BR>【結果】前頭前野領域(全体・左右)のoxy-Hb値の効果量とPASATの正当数には条件間に有意な差が無かった。笑いのビデオ視聴後は,課題中の左前頭前野のoxy-Hb値が右に比べて高かった(p<0.05)。<BR>【考察】笑いによって直後の認知課題遂行時に左前頭前野の活性化が認められた。先行研究では左前頭前野の活動と快刺激との関連が報告されている。本研究の結果は,事前の快刺激が直後の認知課題時の前頭前野活動に影響していることが推察された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680642733184
  • NII論文ID
    130007005527
  • DOI
    10.11529/thpt.26.0.43.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ