有痛性足部疾患における中足骨頭部痛の割合とその特徴
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説明
【はじめに】 臨床上、有痛性足部疾患の中で中足骨頭部痛を呈する症例を経験する。過去の報告において中足骨頭部痛は、外反母趾、扁平足、凹足、開張足など様々な足部障害に認められている。また、前足部横アーチ(以下、横アーチ)の低下が原因とされている一方で、アーチ形態は同一ではないとする報告もある。<br> 今回我々は、当院に来院した有痛性足部疾患に占める中足骨頭部痛の割合を算出した。また、自然歩行時のフットプリントにて後足部のアライメントを分類し、その違いによる中足骨頭部痛の有無と前足部の開張度、圧集積の違いを比較検討したので報告する。<br>【対象】 本研究は平成20年9月から平成24年6月に有痛性足部疾患にて当院を受診した102例126足を対象とした。性別は、男性51例、女性51例、罹患側は右足60足、左足66足であった。<br>【方法】 対象を自然歩行時のフットプリントによる林の分類にて、Bタイプ、Eタイプを後足部回内足群(以下P群、48足)、Dタイプを後足部回外足群(以下S群、78足)に分類した。また、その中で横アーチの低下を認めるCタイプの所見を合併しているものとしていないものも分類した。更に、中足骨頭部痛を有する群と有しない群も分けた。なお、中足骨頭部痛は第Ⅱ趾~Ⅴ趾までを対象とし、第Ⅰ趾の中足骨頭部痛は対象から除外した。<br> そして、回内足、回外足における中足骨頭部痛の割合と、FPとレントゲン背底像による横アーチ低下の所見と中足骨頭部痛における関連を検討した。<br>【結果及び考察】 当院に来院した有痛性足部疾患に占める中足骨頭部痛の割合は16%であった。<br> P群48例中、横アーチの低下は45例(94%)、その中で中足骨頭部痛を認めたのは5例(10%)、認めなかったのは40例(83%)であった。また、P群の中で、横アーチの低下を認めなかったのは3例(6%)、その中で中足骨頭部痛を認めたのは1例(2%)、認めなかったのは2例(4%)であった。<br> S群78例中、横アーチの低下は63例(81%)、その中で中足骨頭部痛を認めたのは14例(18%)、認めなかったのは49例(63%)であった。また、S群の中で、横アーチの低下を認めなかったのは15例(19%)、その中で中足骨頭部痛を認めたのは1例(1%)、認めなかったのは14例(18%)であった。<br> 前足部の開張度は中足骨頭部痛の有無で比較した結果、P群では、疼痛を有する群がM1M2、M1M5において有意に増加していた。S群では、疼痛を有する群がM1M5、M4M5おいて有意に増加していた。<br> 圧集積はフットプリントを観察し、P群では内側3趾(第Ⅰ趾~Ⅲ趾)に圧集積を認める症例が多く、S群では集積の仕方に決まったパターンは無かった。<br> P群は重心軌跡が後足部から中足部、前足部と足部の内側を通過していくため前足部がM1M2を中心に開張し、圧集積も内側寄りに集中するが、S群は重心軌跡が後足部、中足部では外側を通過し、そこから前足部で急激に内側へ移動するため、前足部がM4M5を中心に開張し、圧集積もばらつきが多いと考えられた。
収録刊行物
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 28 (0), 150-, 2012
東海北陸理学療法学術大会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680643227008
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- NII論文ID
- 130005455963
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可