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TKA感染に対して人工関節抜去後も自宅退院でき、ADLが維持できた症例
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【はじめに】 人工関節置換術後における感染に対しては、一般的に人工関節を抜去した後に、抗生剤入りセメントスペーサー(以下CS)を用いて二期的に再置換を行う場合が多い。しかし、従来のCSではビーズ型や既製品のものが多く、歩行の自立が困難なため、感染が沈静化して二期的再置換するまで車椅子での長期入院を余儀なくされる。<br> そこで、人工膝関節の感染例に対し、人工膝関節抜去後に予め作製したオーダーメイドのCSを設置することによって、膝関節の可動域や筋力がほぼ維持できて、一旦自宅退院でき、二期的再置換後も良好な経過を得た症例を経験したので報告する。尚、本発表にあたり症例から同意を得ている。<br>【症例】 75歳女性、診断名は両変形性膝関節症である。平成22年9月に左人工膝関節全置換術(以下、TKA)施行し、10月から外来通院にてリハビリを継続していた。しかし平成22年11月に左膝の熱感・腫脹・疼痛が出現し、血液検査や穿刺した関節液の細菌培養検査結果から表皮ブドウ球菌が検出され、「TKA後の感染」と診断された。その後の外来通院で10週間抗生剤の点滴を実施したが、感染の沈静化が得られず、平成23年3月に人工膝関節感染に対する手術目的で入院となった。<br>【経過】 入院時2本杖歩行の状態であり、左膝関節に腫脹・熱感・疼痛がみられた。左膝関節の可動域は、他動で伸展0°屈曲125°であり、日本整形外科学会膝関節機能判定基準(以下JOAスコア)が83点であった。平成23年3月に人工膝関節を抜去した後、人工膝関節と同じ形をしたCSにバンコマイシンを含有してセメントで固定した。CSは人工膝関節の形状をしているため、翌日から可動域訓練が可能となり、術後4日目に車椅子移乗ができた。しかし可動域訓練中、セメント同士が擦れる異音やセメントの破損に注意する必要があった。そこでレントゲンコントロールを行いながら、術後2週目に1/3部分荷重(以下PWB)、術後3週目に1/2PWBを開始できPWB歩行可能となった。しかし、歩行訓練中に脛骨部の荷重時痛や膝の動揺性がみられたため、支柱入りの軟性膝サポーターを装着して調整した。<br> 平成23年6月に二期的再置換術を実施し、7月の退院時の左膝可動域は伸展0°屈曲145°まで獲得できた。JOAスコアは、85点となり一本杖歩行で退院した。<br>【考察】 人工関節を抜去し、CSを挿入した場合、二期的再置換まで膝を伸展位で外固定したり、免荷を維持するなどして感染の沈静化を待つ文献が多い。そのため膝の伸展拘縮や廃用性萎縮の合併症が生じやすいとの報告されている。今回のCSでは、患者の膝に適合したオーダーメイドの型を挿入できたため、手術翌日より可動域訓練や術後2週目からのPWB歩行訓練を実施することができた。さらに再置換までの待機期間に自宅退院まで可能となった。ただし、荷重増加に伴うCSの破損の危険性や膝の動揺性の出現などの問題点もあった。レントゲンコントロール下での歩行訓練や支柱入りの軟性膝サポーターを装着したことで、安全に自宅退院まで誘導することができた。本例によりオーダーメイドCSを挿入することは、人工関節抜去後の膝関節の機能の維持に非常に有用であったと思われる。
Journal
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 28 (0), 111-, 2012
東海北陸理学療法学術大会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680643307520
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- NII Article ID
- 130005455831
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed