視覚を使わないランドマークと言語ルートマップ

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抄録

【目的】 視覚を使わずに歩く歩行者には、視覚的な地図は利用が困難である。触地図は 制作コストと読み取りの困難、複製や流通の困難などの欠点があり、インター ネット時代の現代では、言語ルートマップの利用や需要が増えていくと考えら れる。その場合、視覚障害の歩行者には、どのようなランドマークを使い、ど のようにルートマップを作ればがより有用であるかを、2006年度合同会議のた めに西荻窪から会場である東京女子大学までの言語ルートマップを作成する課 程を通して検討する。 【方法】 目的とするルートについて、複数の一般晴眼者に言語ルートマップを作成させ た。同様に、複数の歩行訓練士に同一のルートを歩かせ、視覚を使わずに歩い た場合と、視覚も使いながら歩く(含むロービジョン)場合で、どのようなラ ンドマークを使い、ルートを説明するか記録した。得られたランドマークと説 明方法について比較し、歩行訓練士間、一般の晴眼者で共通するものとしない もの、視覚を使う場合と使わない場合で共通なものと特殊なものに分類した。 得られたランドマークを用いて複数の言語ルートマップを作成し、人工的に視 機能を低下した晴眼の被験者にルートマップを利用して歩かせ、ランドマーク や説明方法を比較した。 【結果と考察】 歩行訓練士の場合、建物のような一般的なランドマークよりも道の形状をラン ドマークとして説明していた。視覚を使わない匂いや音のランドマークもいく つか見られた。白線、ガードレールのロービジョンのためのランドマークの表 現や、 交通量、車の走る方向といった危険性のある箇所についての言及がなされてい た。 視覚障害のある歩行者に対して有効なランドマークは、晴眼の歩行者とは異な ること、ロービジョンと全盲の場合で異なる場合があることが分かり、ユニ バーサルな言語ルートマップを作成するための工夫についての知見が得られ た。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680643468160
  • NII論文ID
    130007005843
  • DOI
    10.14908/jslrr5.7.0.51.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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