動揺視の最大読書速度に及ぼす影響

Description

【目的および背景】異常眼球運動などに伴う動揺視は、程度が大きくなると視力低下をきたす。しかし、視力低下をきたさない程度であっても、読字が困難であると訴える患者はまれではない。昨年、本学会で動揺視患者群と正常群でMNREAD-Jを用いて測定した読書視力(RA)、臨界文字サイズ(CPS)、最大読書速度(MRS)を比較し、RAとCPSの差が、動揺視患者群で有意に大きく、近方視力がよくても、読むサイズが小さい時に正常よりも読書速度が低下していることを報告した。しかし、CPSとRAの差だけでは、動揺視患者の訴える読書困難を説明しきれていないのではないかと考え、今回はMRS自体に注目し再度検討した。MRSは、一般に個人差が大きいため比較しにくい。しかし、動揺視の程度が状況によって変わる患者において、それらの状況間でMRSがどう変化するかを検討することで、動揺視が読書速度に与える影響を明らかにすることができると考えられる。 【方法】対象は、頭位で眼振と自覚的な動揺視の程度が異なる両側迷路障害患者A、左右眼で動揺視の程度が異なり、動揺視治療薬の内服開始5日後と3ヶ月後で動揺視の程度が異なった脳幹部出血患者Bの計2名であった。患者Aでは、安定頭位と不安定頭位でモニター画面の傾斜条件を変えてMNREAD-Jを用いて、RA、MRSをそれぞれ測定し比較した。患者Bでは、左右各眼遮蔽での測定と内服開始後の2時点で両眼での同様の測定を行なった。 【成績】いずれの患者においても、動揺視の程度が大きい場合にMRSは低下した。一方、RAは動揺視の程度が大きくても低下するとは限らなかった。 【結論】動揺視では、視力に影響を及ぼさない程度であってもMRSが遅くなるということが示された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680643503616
  • NII Article ID
    130007005908
  • DOI
    10.14908/jslrr5.7.0.82.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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