GMFCSレベルVの脳性まひ児におけるGoldsmith指数と年齢の関連性について

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【目的】 粗大運動能力分類システム(以下GMFCS)レベルVの子どもたちは3歳ごろまでに運動機能がピークを迎え、生涯に渡って変形・拘縮の進行防止がテーマとなる。<BR>当施設(肢体不自由児通園施設)では、主に未就学の脳性まひ児の理学療法を行っている。乳幼児期のレベルVの子どもたちは、姿勢運動及び筋緊張に左右差が見られるが、明確なROM制限や側弯は認められないことも多い。そのため、平成15年より非対称変形の1つである風に吹かれた股関節変形の評価としてGoldsmith指数の計測を行っており、それらの変化を指針として理学療法プログラムを立案・実施してきた。<BR>今回、今まで計測してきたGMFCSレベルVの脳性まひ児のGoldsmith指数と年齢の関連性について若干の知見を得たので考察を交えて報告する。<BR> 【方法】 対象は、当施設に通い週1~2回理学療法を実施しているGMFCSレベルVの脳性まひ児、1歳~15歳まで35名(手術施行児は除く)。100データであった。内、1歳~3歳までが31データ、4歳~6歳までが30データであった。<BR>1歳~15歳までと1歳~6歳までのGoldsmith指数と月齢について散布図を作成し、ピアソンの相関係数を用いて統計処理を行った。<BR>またさらに、1歳~3歳までと4歳~6歳までも同様に統計処理を行った。<BR> 【結果】 GMFCSレベルVの15歳までの脳性まひ児におけるGoldsmith指数と年齢の関係について、強い正の相関が認められた(r=0.485、p<0.001)。また、1歳~6歳(61データ)においても、Goldsmith指数と年齢との間に弱い正の相関が認められた(r=0.32、p<0.05)。<BR>さらに1歳~3歳に比べ、4歳~6歳で正の相関関係が見られた(r=0.43、p<0.02)。<BR> 【考察】 GMFCSレベルVの脳性まひ児において、Goldsmith指数と年齢との間には強い正の相関関係がみられたことから、年齢が上がるのに伴いGoldsmith指数が高くなることが示唆された。1歳~6歳においても弱いながら正の相関関係がみられた。<BR>1歳~3歳では関係性はみられなかったが、4歳~6歳においては正の相関関係が認められ、この時期から風に吹かれた股関節変形が起こる可能性が示されたと考えた。<BR>対象児は週1~2回の理学療法を実施しているにもかかわらず、幼児期において非対称変形の兆候が認められたことから、これまでの理学療法プログラムの見直しを図るとともに、早期より保護者の理解を得て風に吹かれた股関節変形予防に着目した姿勢管理を進めていく必要があると感じた。<BR>今後も継続的な評価を行い、風に吹かれた股関節変形に影響を及ぼす因子の検討およびその対策に取り組んでいく必要があると思われる。<BR> 【まとめ】 1.GMFCSレベルVの1歳~15歳までの脳性まひ児のGoldsmith指数と年齢との関連性について検討を行った。<BR>2.Goldsmith指数と年齢に強い正の相関関係があった。また、1歳~6歳においては弱い正の相関関係があった。<BR>3.4歳~6歳においては正の相関関係があり、この時期から非対称変形の兆候が認められた。<BR>4.より早期からの風に吹かれた股関節変形に対する適切な姿勢管理を含めた理学療法が必要と思われる。<BR>

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