ロービジョン外来受診患者の読書能力と読み書きの不自由さ

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抄録

【目的】ロービジョン患者の読書能力と読み書きの不自由さとの関連を検討した。<BR> 【対象と方法】当科ロービジョン外来受診患者40例(17歳~84歳、平均60歳)を対象に読書チャートMNREAD-Jの白背景に黒文字のJ1、黒背景に白文字のJ2を用いて、読書視力、臨界文字サイズ、最大読書速度を測定した。読み書きの不自由さはSumiら(Ophthalmology 110:332,2003)の問診票を用い、単語の読み書き5項目、文章の読み書き3項目、合計8項目(0,1,2点の3段階で点数が大きいほど不自由さが強い)と読書能力の関連を検討した。疾患の内訳は糖尿病網膜症12例、視神経萎縮、網膜色素変性、加齢黄斑変性、緑内障が各6例、近視性網脈絡膜萎縮4例で、優位眼視力は0.79±0.4(logMAR)であった。<BR> 【結果】読書視力(logMAR)はJ1:0.75±0.3、J2:0.71±0.3、臨界文字サイズ(logMAR)はJ1:1.0±0.2、J2:1.0±0.2、最大読書速度(文字数/分)はJ1:86.6±72.7、J2:105.6±77.4であった。読み書きの不自由さは、単語の読み書き5項目では平均1.4±0.5点、文章の読み書き3項目では平均1.6±0.5点、8項目の平均は1.5±0.4点であった。疾患別の優位眼視力に差はなかった(Kruskal-Wallis検定、p=0.33)が、読み書きの不自由さは、加齢黄斑変性:1.9±0.1点、糖尿病網膜症:1.6±0.3点、緑内障:1.6±0.3点、近視性網脈絡膜萎縮:1.4±0.4点、視神経萎縮:1.4±0.5点、網膜色素変性:0.9±0.5点であった。8項目の平均点数を従属変数、年齢、優位眼視力、読書能力の各パラメータを独立変数として変数減少法による重回帰分析を行なうと、最大読書速度(J2)が変数として採用され(標準回帰係数-0.748)、平均点数=1.931-0.004×最大読書速度(J2)で回帰された(自由度調整決定係数0.546、p<0.001)。<BR> 【結論】今回の検討ではロービジョン患者の読み書きの不自由さは最大読書速度と関連が強かった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680644400640
  • NII論文ID
    130007006559
  • DOI
    10.14908/jslrr5.9.0.21.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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