点字読み速度と触運動・触読者属性の関係

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  • 両手読みは片手読みより速いか? 幼少時学習者は中途視覚障害者より速いか?

抄録

<br> 盲学校においては点字を両手で読めるように指導することが一般的である。両手読みには、どちらの手の指でも読める技能だけでなく、両手を有機的に動かすことで読み速度を上げる技法も含まれる。具体的には、右手がある点字列の行末を読んでいる間に左手が次の行頭を探すことで、行末から行頭への指の掃引に要する時間を削減する技法が一般的である。では、両手読みは片手読みに比べてどの程度速いのだろうか? <br> 点字の読み速度と読者の属性との関係はどうだろうか? 幼少時に点字を習い始めれば速く読めるようになることが多いが、中途失明者でも速く読めるようになるのだろうか? 読者の年齢、点字学習開始年齢、触読年数、視力、普段の点字利用状況と読み速度との関係はどのようなものだろうか? <br> 平成18年度には、点字読者32人を対象として、読み速度と接触力の関係を求める実験を行った。その際に記録した触運動データ及び被験者の属性と読み速度との関係を解析してみた。その結果、有機的な両手読みは概して片手読みより速いが、両手読みよりも速い片手読み読者も存在した。読者の属性との関係では、触読速度は点字学習開始年齢の影響を受け、読みがとりわけ速い読者は皆、幼少時学習開始者であった。しかしながら、中途(48歳)で学習を始めても実用的な速度を達成できた人もいたことは注目に値する。速度は日常の点字使用頻度にも関係し、触読速度が遅い読者のほとんどが、普段はあまり点字を使わない人たちだった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680644595840
  • NII論文ID
    130007006606
  • DOI
    10.14908/jslrr5.8.0.63.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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