進行期パーキンソン病に対する視床下核脳深部刺激療法後の立位の不安定性
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説明
【目的】視床下核への脳深部刺激療法(STN-DBS)による立位の不安定性の改善効果については,UPDRSあるいは足圧中心(COP)を用いた先行研究において,相反した報告がなされている.今回,STN-DBSの立位不安定性改善に対する有効性を明らかにするため,軸症状およびCOP変動への影響を検討した.<BR> 【対象】進行期パーキンソン病患者18例、平均61.4歳、罹病期間は平均12年を対象とした.また,壮老年期健常者15例を対照群とした.<BR> 【方法】術前のon・off時、およびDBS術後に,開眼安静立位時のCOPを60s間計測した.得られたCOPの経時変化を,前後,内外側方向のCOPの変位データに分け,各方向の動揺振幅,動揺速度を算出した.軸症状はUPDRSのaxial score(part_II_13-15、_III_27-30)とTinetti's Balance and Mobility Assessment scaleにより評価した.<BR> 【結果】1)内外側方向の振幅はon時に増大し,術後の改善も乏しかった.2)術後の内外側方向の振幅はaxialスコアおよびTinetti's Balance and Mobility Assessmentスコアと有意に関連した.3)術後に内外側方向の動揺振幅が増大する症例は,L-dopaによる軸症状の改善が乏しく,内外側の動揺振幅も有意に増大していた.<BR> 【考察】術後のCOPパラメータは,術前on時にみられた動揺振幅や動揺速度の増大が減少していた.この結果から,STN-DBSはL-dopaよりも立位の不安定性改善に有効であることが示唆された. これまで,高齢者の転倒リスクに側方動揺性が関連すること(Maki,1996)や,STN-DBS(術後6ヶ月)はL-dopaによって増大した側方動揺性を改善すること(Rocchi,2002)が報告されている.しかし,術後3週間程度では,内外側方向の動揺振幅は改善が乏しく,また,内外側方向の動揺振幅はaxial scoreやbalance scaleのいずれとも関連することから,立位の不安定性が残存すると考えられた.<BR> 【まとめ】STN-DBSはL-dopaよりも立位の不安定性改善に有効である.しかし,その改善の程度は,術前on・off時のaxial scoreや内外側方向の動揺振幅の変化によって異なる可能性がある.
収録刊行物
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 26 (0), 107-107, 2010
東海北陸理学療法学術大会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680644825216
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- NII論文ID
- 130007006730
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可