当院における中枢神経疾患患者の家屋改修・福祉用具利用内容の傾向について

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抄録

【はじめに】中枢神経疾患患者の在宅復帰において,家屋の改修や福祉用具の選定は非常に重要な自立支援の要素であると考えられている。そこで今回,当院回復期リハビリテーション病棟退院後の中枢神経疾患患者の家屋改修,福祉用具利用についてアンケート調査を行い,その傾向について検討したので報告する。〈BR〉【対象及び方法】アンケート対象は当院退院後に直接在宅復帰した中枢神経疾患を有している患者75名とした。対象者状況として,退院時の身体機能についての指標にはBrunnstrom Recovery Stage Test(以下BRS)を用い,1・2を重度、3・4を中等度、5・6を軽度とした。歩行能力の指標にはFunctional Independence Measure(以下FIM)を用いた。これらの指標と家屋改修,福祉用具利用状況を調査し比較検討した。BSTの重症度による群間の比較にはMann-WhitneyのU検定を用いて,有意水準は5%とした。〈BR〉【結果】対象者の麻痺重症度は重度群5名(BRS1・2)・中等度群20名(BRS3・4)・軽度群47名(BRS5・6)であった。麻痺の重症度による比較では,軽度群は階段・出入り口の改修と手すり・昇降機の福祉用具利用に有意差が認められた(p<0.05)。中等度群は廊下・トイレの改修に有意差が認められた(p<0.05)。重度群は手すり・昇降機・トイレまたは寝具の福祉用具利用に有意差が認められた(p<0.05)。〈BR〉【考察】軽度群では階段の改修が多く,出入り口の改修と手すり・昇降機の福祉用具利用は少なかった。中等度群では廊下・トイレの改修が多く,重度群では手すり・昇降機・トイレまたは寝具の福祉用具利用が多かった。麻痺の重症度により歩行能力に差が生じ,それに伴って活動範囲が変化し,改修箇所や福祉用具の利用状況に影響を与えたと推測される。

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