QOL向上を目標にADL練習を行った重度の大動脈弁狭窄症の経験
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【はじめに】<BR> 重度の大動脈弁狭窄症(以下,AS)患者に対する運動療法は禁忌である.本来は手術療法が第一選択であるが高齢者では手術を望まない事があるため,安静を強いられ廃用が進行する.しかし患者や家族から余生を有意義に過ごせるようにとリハビリを強く希望される事がある.今回,主治医と十分な話し合いをした患者に対してQOL向上を目標にADL練習を行った症例を経験したので報告する.<BR>【症例供覧】<BR> 症例1は95歳の女性で,入院時の脳性ナトリウム利尿ペプチド(以下,BNP)は1402.4pg/ml,左室-大動脈圧較差(以下,PG)は58mmHgであった.立ち上がり練習を継続し自宅へ退院した.退院後,家族と共に故郷へ行く事ができた.<BR> 症例2は88歳の女性で,入院時のBNPは2106.1pg/ml,PGは63mmHgであった.寝たきり状態であったが介助にて車椅子乗車が可能となった.その後状態悪化のため死亡した.<BR> 症例3は94歳の女性で,入院時のBNPは1582.2pg/ml,PGは86mmHgであった.トイレへの移動能力維持のためT字杖での歩行練習を継続し自宅へ退院した.<BR> 症例4は85歳の女性で,入院時のBNPは839.3pg/ml,PGは92mmHgであった.車椅子座位時間が延長し,老健に入所した.<BR> 症例5は87歳の女性で,入院時のBNPは427.3pg/ml,PGは54mmHgであった.寝たきり状態から家族と車椅子で外食に出かけられる迄になった.その後状態悪化のため死亡した.<BR>【考察】<BR> 心不全を呈したAS患者は生命予後が2年であり,余生のQOLを優先する考え方は癌患者のターミナルケアと似ている.重度のAS患者に対しADL練習を行う事は生命予後を悪化させる可能性がある.しかしQOL向上を目標に医療者側と患者側との話し合いの上で,ADL練習を行う事は余生を考える上で検討に値すると考える.
Journal
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 25 (0), 152-152, 2009
東海北陸理学療法学術大会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680645149312
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- NII Article ID
- 130007006903
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed