体重免荷歩行が6分間歩行試験時の酸素摂取量応答に及ぼす影響

  • 渡辺 伸一
    独立行政法人国立病院機構七尾病院リハビリテーション科
  • 村先  京子
    独立行政法人国立病院機構七尾病院リハビリテーション科
  • 石崎 裕祐
    独立行政法人国立病院機構七尾病院リハビリテーション科
  • 牧野  至泰
    独立行政法人国立病院機構七尾病院リハビリテーション科
  • 佐藤  ことみ
    独立行政法人国立病院機構七尾病院リハビリテーション科
  • 永冨 浩志
    独立行政法人国立病院機構七尾病院リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • 健常成人での検討

説明

【目的】歩行障害を有する患者に対して,免荷装置を用いたトレッドミルによる歩行トレーニング(以下BWS歩行)が開発され,その有効性について多く報告されている.BWS歩行に関する研究として,至適歩行速度での呼吸機能についての報告は見られるが,速歩での呼吸機能の報告は少ない.そこで,有病者を対象とする前の予備的研究として,まず健常人に速歩でのBWS歩行を行い,その肺機能に与える影響を検討した.<BR> 【方法】平均30歳(±5.4),男性10名で,6分間歩行試験により歩行速度を設定し,トレッドミルにより6分間の定常負荷を行った.運動課題は全荷重歩行(以下FBW)・20%免荷歩行(以下20%BWS)・40%免荷歩行(以下40%BWS)の3種類で,酸素需要についてはVO2,運動後のVO2の回復動態については時定数(τoff),自覚的疲労度については修正Borg Scoreを測定し,免荷量と呼吸機能との関連を比較検討した.<BR> 【結果】FBWのVO2は,3分目では定常とならず,6分目まで増加した.20%,40%BWSでは,3分目に定常に至った.FBWに対する変化率(以下FBW比)の場合,20%BWSでは3分目で15±4.4%,6分目で26±4.8%の減少を示し,40%BWSでは3分目で20±9.3%,6分目で29±10%の減少を示した.時定数(τoff)では,FBWと20%BWS, FBWと40%BWSにおいて有意差が認められ,20%BWSと40%BWSには有意差は認められなかった.修正Borg Scoreでの呼吸困難感,下肢疲労ともに全課題間にて有意差が認められた.<BR> 【考察】日本循環器学会によると,ATに相当するVO2/kgは平均19.0~21.0 ml/kg/minであるが,本研究では全荷重歩行はATをかなり超える運動強度であり,20%BWSと40%BWSはATに相当するかやや下回る運動強度と考えられる.酸素摂取量や回復時の時定数からみて,速歩での体重免荷歩行は,至適速度での全荷重歩行と同等の酸素消費量であり,かつ平常歩行と比べて循環動態の活動を亢進させ,O2負債の回復過程にも好影響を与えると思われた.また体重免荷歩行は,大脳の知覚野で誘発される呼吸困難感においても影響を与えるのではと推察される.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680645203712
  • NII論文ID
    130007006962
  • DOI
    10.11529/thpt.25.0.140.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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