遮光眼鏡装用者のカテゴリカル色知覚

DOI

抄録

遮光眼鏡は散乱などにより羞明の原因となる短波長をカットすることによって眩しさを減らすことを目的としたフィルターである。眼科臨床ではさまざまな眼疾患(白内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症など)で羞明を訴えることがあり、遮光眼鏡が使用される場合があるが、可視光をカットするフィルターもあるため遮光眼鏡非装用時と比較して遮光眼鏡装用時には色知覚に変化が起こる可能性がある。そこで本研究では、遮光眼鏡装用がカテゴリカル色知覚に与える影響について検討した。被験者は石原色覚検査表とアノマロスコープで色覚異常を認めなかった大学生20名(平均年齢21.1±0.74歳)、刺激にはMunsell Book of Color(Glossy)から98枚の色票を用い、遮光眼鏡は東海光学製のRO・LY・UG・FR・TSを使用した。実験装置として暗室となる観察ブースを用意した。ブース内の照明には100W人工太陽灯(セリック製XC-100)を使用し、色票呈示面の照度は1000lx程度とした。色票は視角2°の正方形、背景はN9相当とした。被験者は呈示された色票の色を基本色名(赤、ピンク、橙、黄、緑、青、紫、茶、白、灰、黒)で口頭で応答した。色知覚の変動は、遮光眼鏡非装用と比較して遮光眼鏡LY、UG、ROは大きかったが、TS、FRは小さかった。色度との関係をみると、遮光眼鏡透過後の色度が極端に変動する遮光眼鏡は色知覚の変動も大きく、遮光眼鏡装用はこのような場合にカテゴリカル色知覚に影響を与えることが示唆された。色知覚の変動が大きい遮光眼鏡では、色度変化に関係する錐体の刺激量比において、S、M錐体の刺激量衰退が大きかった。今後、色順応、色恒常性との関連を検討する必要があると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680654065280
  • NII論文ID
    130005456700
  • DOI
    10.11507/jarvi.21.0_122
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ