旧石器時代のヒトはどんぐりを食べていたか

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タイトル別名
  • How humans in the Paleolithic era have eaten the acorn.

抄録

<br>[目的]  縄文時代、土器を利用した水さらしで渋抜きを行い、どんぐりを食べていた。それでは、旧石器(無土器)時代の古代人はどんぐりをいかに食べていたのか。本研究では、まず、どんぐりの渋味成分(タンニン)の抽出条件を確立し、種々のどんぐりの水溶性タンニン量を定量した。そして、水さらし以外の脱渋法や調理による脱渋効果を調べた。<br>[方法] 試料の量、抽出溶媒、抽出時間、抽出回数を変えて、どんぐりから抽出されたタンニン量をフォリンーデニス法で測定し、抽出条件の最適化を行った。また渋柿の脱渋に用いられるアルコールや炭酸ガス脱渋法で、どんぐりのタンニン抽出量が減少するか調べた。調理による脱渋実験として、どんぐりに、じゃがいも、長芋、ミンチ肉を混ぜたハンバーグを作り、それらのタンニン量の測定や渋味の程度を官能検査で調べた。<br>[結果] どんぐり粉末200mgに対して脱イオン水15mlで3回抽出する方法により、各種どんぐりの渋味の程度とよく相関するタンニン抽出量の測定値(乾物換算%)が得られた。脱渋法の検討では、どんぐりを油で炒める調理法で、タンニン抽出量が約30%減少したが、他の方法では脱渋効果がなかった。調理実験の結果、油とたんぱく質含量の多い肉とどんぐりの組み合わせ調理で、抽出タンニン量が減少し、また官能検査でも渋味が顕著に低下した(p<0.01)。以上の結果、古代人も、どんぐりと肉の組み合わせで渋味が軽減できることに気がつけば、渋いどんぐりでも食糧としていた可能性があると思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680665515904
  • NII論文ID
    130007009568
  • DOI
    10.11402/ajscs.17.0.40.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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