雌再交尾頻度の遺伝変異-性的対立研究のモデルとしてのアズキゾウムシ-
-
- 宮竹 貴久
- 岡山大学農学部
書誌事項
- タイトル別名
-
- Heritable variation of female remating: adzuki bean beetle as a model for studies on sexual conflict
抄録
オスの適応度は交尾回数に比例して増加する.一方,メスの適応度は交尾回数に単純に比例しない.オスは自身の適応度を最大化するために,メスの再交尾を抑制したり,既交尾メスに不必要な交尾を強要したりして,メスの交尾回数を操作する方向に進化する.これに対してメスは最適な交尾回数を達成するために,オスの操作に対抗するよう進化する.そのため,メスの交尾回数をめぐってオスとメスの間に性的対立が生じる.これまでメスの交尾回数の進化議論に必須の遺伝的変異を示した研究は少なく、数種の昆虫のみでしか報告されていない. アズキゾウムシ Callosobruchus chinensis は,内田俊郎以来,多くの実験用系統が国内で維持されている.これらの系統間でメスの再交尾頻度に著しい変異が発見された(Miyatake and Matsumura 2004, Harano and Miyatake 2005).基本的には,野生集団のメスは複数回交尾(Polyandry),長期間累代飼育された系統では単数回交尾(Monandry)だった.これらの系統を用いて,本種メスの再交尾の遺伝様式,再交尾を支配する性,再交尾に影響すると思われる雌雄の形質について調べた.さらに交尾にあぶれたオスの交尾対へのハラスメントや,ライバルオス存在下での戦略的射精といった,再交尾変異と対応して進化すると考えられる形質についての研究結果も紹介する.講演では,これらの結果をもとに,再交尾頻度に遺伝変異のあるアズキゾウムシが交尾回数やその他の繁殖形質をめぐるSexual Conflictの進化研究にどのように使えるのかについて議論を提供するとともに,累代飼育とpolyandryの関係についても考察を試みる予定である.
収録刊行物
-
- 日本生態学会大会講演要旨集
-
日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 63-63, 2005
日本生態学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680666478208
-
- NII論文ID
- 130007010840
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可