ヤエガワカンバの植生地理
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- 沖津 進
- 千葉大学園芸学部
書誌事項
- タイトル別名
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- Vegetation geography of Betula davurica
説明
ヤエガワカンバ(Betula davurica Pallas)は,日本では北海道東部の一部および本州中部の内陸域に点在するのみで,分布量は少ない.いっぽう,北東アジア大陸部には広く分布し,大陸陸型落葉広葉樹林の主要な構成要素となっている.この林は,植生地理的には,朝鮮半島中部に分布する,アカシデを主体とするシデ類優占型落葉広葉樹林と接続している. 2004年7月,短い期間ではあったが,極東ロシア沿海地方最南部を訪れ,ヤエガワカンバを含む森林を2,3観察する機会を得た.本報告では,その結果に基づき,モンゴリナラ_-_ヤエガワカンバ林の構造を紹介した後,この林の植生変遷史上の意義を考察する. ヤエガワカンバ林の樹種構成をみると,モンゴリナラが優占し,シナノキ類,エゾイタヤがそれにつぎ,イヌエンジュ,キハダなどが伴う.さらに,ヤエガワカンバ,チョウセンミネバリが混成する.こうした組成は,現在北海道に分布する落葉広葉樹林のものと近い.北海道の落葉広葉樹林は,大陸型のモンゴリナラ_-_ヤエガワカンバ林からヤエガワカンバが欠落したものである.ヤエガワカンバは最大胸高直径50 cm近くに達し,主要構成種となっている.この樹種は,直径10 cm以下の個体はわずかであるが,直径20 cmまでの個体が5割を占め,更新がほぼ継続していることがわかる.ヤエガワカンバは,山火事後,林分の発達とともに優占性を増加させていた. 以上のように,ヤエガワカンバは,大陸型落葉広葉樹林の極相樹種で,現在は二次林要素と考えられているシデ類優占型落葉広葉樹林をも含めた,大陸型落葉広葉樹林の日本列島における最終氷期以来の変遷を理解する重要な存在である.
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 140-140, 2005
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680666517120
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- NII論文ID
- 130007010894
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可