同一個体群内でも実効性比を偏らせる要因は年齢群間で異なる
書誌事項
- タイトル別名
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- Factors affecting the bias of the operational sex ratio differ between age-groups in one population of a paternal mouthbrooding fish
抄録
どちらの性にどの程度の強さの性淘汰がはたらくのかを予想する実効性比は,個体群全体で求められてきた.しかし,個体群中に複数のサイズクラスがあり,さらにサイズ同類交配が見られる場合,実効性比はサイズクラスごとに求められるべきである.本研究では,雄が口内保育を行うテンジクダイ科魚類を材料に,2つのサイズクラス(年齢群)を含む野外個体群において,実効性比の偏りと同性間闘争の強さの関係,また実効性比の変動させる要因について,サイズクラス(若齢・老齢群)ごとに検討した.実効性比は繁殖期内で変動し,両年齢群とも繁殖期中期に雌偏りに,それ以外は雄偏りであった.産卵直前に一時的に形成されるペアとそれに接近する個体との相互作用の観察の結果,両年齢群とも,繁殖期中期で雌同士の攻撃行動が顕著であったが,それ以外の時期は同性間闘争に両性間で違いはなかった.中期に実効性比を雌に偏らせた要因はそれぞれの年齢群で異なっていた.若齢群では性比はほぼ1:1であったが,雌の産卵間隔が雄の保護期間を含む繁殖間隔よりも短いことが,この時期の実効性比の偏りもたらしていた.逆に,老齢群では繁殖間隔に性差はなかったが,雌偏りの性比が実効性比を雌へ偏らせた要因であった.従って同一個体群内で実効性比が雌偏りになる傾向は同じであっても,年齢群ごとで実効性比の偏りをもたらす要因がどうはたらくのかが異なることが明らかになった.またこれらの結果は,実効性比が個体群中の年齢やサイズの分布に敏感に反応するという予想を初めて明らかにした実証的研究であると考えられる.さらに,同一個体群の継続調査より,個体群の年齢・サイズ構成は毎年大きく変動することから,数年の寿命を持つ本種が経験する性淘汰の強さは,毎年変化することが推察された.
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 110-110, 2005
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680666630272
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- NII論文ID
- 130007011077
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可